銭湯の話

銭湯

週休二日で改めて考えたこれからの銭湯の仕事
蓬莱湯 稲里美さん

緊急事態宣言下では、スーパー銭湯に自粛要請が出ましたが、一般公衆浴場は営業できたので、多くのお客さんが流れてきました。粛々と営業を続けていましたが、志村けんさんが亡くなった頃からお客さんがゆるやかに警戒しはじめ、お客さんも少しずつ減りました。夜間短縮営業をしたり、週休二日にするところが多くなりました。営業時間を減らしたので売り上げはやはり下がりましたね。

それでも、蓬莱湯の番台には高齢のおばあちゃんが座っているので感染には警戒しています。私も2月に大きな手術を体験して、ICUにいた時期もあったんです。うちも週休二日にしたのはコロナの影響もあるけれど、改めて自分自身の仕事を考える時間にもなりました。世の中の変化に対し、お店が何をするべきか、何ができるか。自分も手術を経験して、薬や診察以外の「未病」という考え方に興味が湧き、銭湯で「未病ケア」ができないかと予防医学的に働く銭湯のしくみを考えています。

週休二日は生まれて初めてのことでしたが、会社勤めの人の感覚を味わわせてもらっています。これから営業をスローダウンさせるか、コロナ前に戻すよう頑張るかは考え中。コロナは1つの変化へのきっかけと捉えています。

秋には乳がん経験者の温泉デビューを応援する女性限定のイベント「乙女温泉」にも挑戦しましたしね。■奏


いなさとみ・昭和34年生まれ。武庫川女子大学英米文学科卒業。結婚後夫婦で家業を手伝いながら3人の子育て。平成14年に温泉銭湯、平成21年に銭湯をリニューアルした。平成24年に父から家業を引き継ぐ。