落語の話

落語

新たなお寺でソーシャルディスタンス亭
落語家・僧侶 露の団姫さん

3月以降ほとんど仕事はなくなりました。落語家は、仕事がなくても「廃業」をしない限り「落語家」でいられるのですね。(笑)尼崎市内にお寺を作るための物件を購入したところのタイミングだったので、返済の思案で毎日お金の計算をしているような状況です。

以前「鳥インフルエンザ」の時に、お客さんがマスクをしていることに、落語家からお客さんが笑わない、「表情がわからない」という声が出たこともありましたが、今思うと贅沢な不満でしたね。落語ができることがありがたい。人に入っていただいて落語ができるだけで、大変ありがたいことだと思いました。

緊急事態宣言明けの一回目の落語会。出囃子きいたら、ジーンとして、ぐっとくるものがありました。ずっと無音状態で過ごしていたので。

お寺として準備している建物を会場に、「ソーシャルディスタンス亭」という落語会を行いました。15名限定プラスオンライン配信でした。うちの一門は、あまり自前の拠点がないので、後輩の落語家も落語をしたいだろうし、落語中毒のお客さんも「落語を聞かないと死ぬ」という声もあって(笑)。落語家にとってもお客さんにとっても、笑いのリハビリでしたね。

「ともかく落語をする場所を」と思って開催したけれど、今思うと、やはりこわかったですね。これからどうしようかとても悩んでいます。来年の春頃になんとかなったらいいのでは?という感じですね。■中


つゆのまるこ・1986年生まれ。落語家・尼僧。2005年、高校卒業を機に露の団四郎へ入門。15歳の時に法華経に出会い感銘を受ける。2011年、天台宗で出家。