落語家の話

落語家

寄席がなくても落語にできること
落語家 桂吉の丞さん

落語会ほど三密なものはないので。仕事がほとんどなくなりました。6月から寄席がぼちぼちと再開されてきたところで、東京の舞台でクラスターが出て、新規の仕事がキャンセルになりました。今年いっぱいは難しいかもしれませんね。ネタになるようなバイトならしてもいいのかな。おもしろおかしくネタにできるのなら(笑)。

こういう商売なので、感染すると自分一人ではなく、事務所、劇場、落語家、上方落語界みんなに迷惑がかかる可能性があります。気を使って生活しています。

いついつにこれをするからというので、稽古にも身がはいるのですけど、そのメドが経たない。それがつらいですよね。ベテランの師匠でも、久しぶりに落語をすると、「足がしびれた」とか「疲れた」とかおっしゃって、なかなか感覚がもどらないようです。

落語は生で見てもらうのが一番。動画配信も当初は反対の声が多かったように思いますが、コロナの終息が長引きそうで、今はシステムや機材に投資・準備をするようになってきました。人数限定で、高座をビニールで仕切ったりという工夫をして落語会を開催しました。だいぶ迷いました。

けれど、やってみると「無理かな」と思っていたことが意外とできることがわかりました。落語はやってみるといろいろできる可能性がまだあることに気づかされるきっかけにもなりました。■中