映画館の話

映画館

不要不急?不朽の名作届けて
塚口サンサン劇場 戸村文彦さん

緊急事態宣言が出た翌日の4月8日から5月いっぱいは休館していました。春休みとゴールデンウィークという繁忙期が2つも飛んでしまったので、正直なところ痛手は大きかったですね。

私はその期間も休んでなかったです。いろんなことをしていました。たとえば、サンサン劇場のスマホアプリの中に「タブロイド」っていうページがあるんですけど、そこに劇場の歴史や成り立ちなんかをまとめた記事を70日連続で更新し続けました。

当館はこの10年は従来通りのロードショーの他にミニシアター作品や旧作を扱ったり、イベント上映を企画していたこともあって、多くの映画ファンの方に支持していただきまして、地域の方だけでなく全国からお客さんが来るようになっているんです。なので、いつ再開できるかわからない中でも、お客さんにメッセージを発信し続けることが大事だと考えていました。おかげさまで、温かいメールやメッセージをたくさんいただきました。入り口に週替わりでメッセージボード掲げていたんですけど、前を通りがかった人がそれに気づいてSNSに投稿してくれたのが拡散したのは嬉しかったですね。

劇場は6月1日に再開したんですが、オープンの時間には列ができて、みなさんが拍手してくれました。実は券売機のトラブルがあったんですけど、「それも塚口らしいな」と笑ってくれました。全国的には多くの作品の公開時期が変更になって上映するものがない期間があったんですが、ウチは新作だけじゃないので、その辺りはいつもどおりでした。客足はまだまだですけど、思っていたよりは戻ってきています。

映画は不要不急の代名詞みたいに言われることもあるけど、それだけ庶民の娯楽として生活に浸透してるということなんでしょうね。今は、無理して来いとまでは言えませんが、映画をみたい時やリラックスしたい時にはぜひ映画館に来て欲しいです。■永


とむらふみひこ・川西市出身。阪急塚口駅前の映画館「塚口サンサン劇場」営業課長。声援を送りながら見る「応援上映」、迫力ある音質と音量を楽しむ「重低音上映」、紙ふぶきやクラッカーでインド映画を盛り上げる「マサラ上映」など新しい映画の見方を次々と提案する仕掛け人。