デイリーマザキさんに聞く 一箱からはじめる書店員ノススメ

古本屋や新刊書店の出店には手が届かないけれど、もう少しハードルを下げて店主体験をしてみたい人にオススメなのが「一箱古本市」。会場に段ボールやトランクケースを持参して店舗に見立て、店主として自らセレクトした本を値付けして販売する市だ。

全国各地で開かれる一箱古本市の出店料は、500円前後が多く無料の場合もあるそう。冊数は箱に入る30~40冊のため、厳選した「これぞ」という本を出品する。これまで100回以上出店してきたデイリーマザキさんの場合は、本屋では「サブカル系」のジャンルに括られるような、変わり種だがニッチで面白い本をセレクトしているのだとか。「書店では目に付きにくい場所にある本でも、面白いものがあることを知って欲しくて。自分の買った本の面白さを共感してもらいたいという気持ちもありますね」。古本の実店舗を出店するには、「絵本」や「文学」などその店独自の専門性が必要になるが、一箱古本市は何に特化するかを見極めるリサーチの場にもなるという。

一箱古本市には、古本屋出店の練習をしている人や趣味の延長の人、収益を得るための人など、さまざまな目的の人が同じ空間を共有していることも魅力のひとつ。「出店者同士の交流も楽しみのひとつです。ここで出会った人同士で共同出店するのも面白そう」と、店主仲間と物件情報を収集しているそう。一箱古本市での書店員デビューは、古本屋出店への第一歩にぴったりだ。

デイリーマザキ

一箱古本市歴7年。リアル書店員として働くかたわら、各地の一箱古本市に出店。本へのコメントが書き込まれた販売用のスリップ(商品タグ・写真右)にひかれるファン多数。尼崎ではキューズモールの一箱古本市に出店。twitter @mazaki_oya


取材・文/立花莉絵子