【今こそ行きたい地元本屋】「じぶん書店」で本好きと出会う 書店員と客のいい関係

企画営業を担う山ノ上純さん。

ダイハン書房 園田
東園田町9-16-8
9:00~23:00(日曜10:00~)無休
コミックの品揃えに定評があり『鬼滅の刃』発売日には1日で670冊を販売。

「この棚一段、全部オススメです!」。こんな熱い手書きの文字が並ぶ書棚で出迎えてくれるのは、園田駅の南すぐにあるダイハン書房本店。1977年から44年、店頭販売から配達まで地元密着の駅前書店だ。創業者の父とともに店に立つのは山ノ上純さん。「人それぞれ面白い本は違うけれど、せめて自分が読んで面白かった本はおすすめしたいと思って」と彼女の本棚を作ってみたという。

「売れなければ自分で買い取ろう」と15年ほど前に自分の趣味の本を仕入れてPOPをつけて並べたところ、よく買ってくれるお客が現れた。思い切って話しかけたところ意気投合。2011年から毎月絵本の読み聞かせ「おはなし会」を一緒に開催することになった。

昨年からは「じぶん書店」なる企画をスタート。常連客が推薦本を10冊ほど選び、期間限定で私的なブックフェアを展開する。選者は百貨店社員、整骨院の先生、新聞記者など多彩で、手作りの推薦帯までつける力のいれようだ。

自分書店は2~3カ月で変わる。
園田駅の南すぐにあるお店。

「私にとっては子どもの頃から当たり前にある存在なんだけど、本屋ってお客さんからはとても魅力的に見えるみたいで、本屋の面白さを逆に教えてもらっています」。書店員がお客と作る新しい本屋のカタチが園田駅前で生まれていた。


取材・文/若狭健作