「あるといいな」があった。 災害時の切り札

普段はあまり意識してないけれど、台風21号で大活躍した“あってよかった”ものを改めておさらい。

緊急情報伝えるクルマ 広報車

台風21号による被害で市内各地に停電と断水が続く中、3日間にわたって給水ポイントや充電ができる公共施設を拡声器でアナウンスしながら「広報車」が走り回っていた。SNSを見ることができない人たちに情報を届けるため、市役所広報担当を中心に停電エリアの情報を収集し、声を届ける地道な広報作戦だ。

さらに風呂や食材に困っているという声に応えるため、市内で営業している銭湯やスーパーの情報をまとめ翌日11時にはFacebookで第1報を発信。するとフォロワーから「こっちも営業しているよ」といった情報が寄せられ、リストが更新されていったという。

非常時の頼れるDJ 防災行政無線

防災行政無線という仕組みをご存知だろうか。河川沿いを中心に公共施設など市内36カ所に設置された屋外スピーカーから、避難情報や緊急情報をお知らせするシステムで、最近では北朝鮮のミサイル発射を伝えたJアラートが記憶に新しい。その放送室を訪ねて、市役所災害対策課を訪ねた。「屋外スピーカーだと音声が聞き取りにくいこともあります。戸別受信機を各社会福祉協議会に配布したり、FMあまがさきでも情報を発信しているので災害時にはぜひ聞いてみてください」と清水計秀係長。非常時にこんなに頼れるDJがいたことに安心した。

街のお風呂屋さん 銭湯

マンションなどを中心に停電による断水も長期化。お風呂に入りたい—。気温も上がる中、こうした声に応えたのが街場の銭湯だった。「普段は来ることがないお客さんが足を運んでくれたようです。まちなかにある銭湯の価値が見直されて嬉しい」と話すのは杭瀬にある第一敷島湯の店主、黒木達也さん。しかし、黒木さんのお店は強風で釜場の屋根が吹き飛び一時休業状態だったという。「台風の被害をきっかけに廃業するお店もあると聞いています。これをきっかけに銭湯に来てほしいですね」。黒木さんは営業を再開し、薪でたっぷりのお湯を沸かして待っている。

防災学ぶ展示ホール

2016年にリニューアルした尼崎市防災センター1階にある展示ホール。シミュレーターを使った消火や震度7の地震体験、119番通報の練習など、楽しみながら防災知識が身につく。平日9時半から17時まではスタッフが案内をしてくれるので、一度は訪れたい。