THE 技 日本一の風船使いが尼に

ものづくりのまち尼崎に息づく匠の技の数々。最先端技術、職人技、妙技、必殺技…。
アマから繰り出されるワザに迫る

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阪神尼崎駅前で開かれた尼崎市民まつりの会場で、ひときわ子どもたちが集まる場所がある。輪の中心にいるのは風船使い たけむぅーさん。「これは何の形でしょう?」と声をかけながらバルーンを膨らませて次々と形作り「犬!」や「剣!」と言い当てた子どもにプレゼントしていく。バルーン欲しさに前のめりになった子どもたちの注意を引きつけたまま、テンポ良くその技は繰り広げられ、あっという間に見ている人の心をつかんだ。

25歳のときにボランティア活動としてバルーンを開始。ネット上の写真を元に分析したり、ストリートのアーティストを見て研究したりし、2017年にはプロとして独立した。今年開催された「JBANコンベンション2018」と「ツイスターズ2018」の大会で優勝し、二度も日本一に輝いた実力者だ。

「技は練習をすれば誰でもできるようになります。パフォーマンスで難しいのはお客さんとの距離をはかりながら、その場に合ったテンポを見極めること」なのだとか。関西でもバルーンアート一本で生計を立てている人は数えるほどしかおらず、その難しさがうかがえる。

細かい造形技術にも定評があるたけむぅーさん。バルーンで作るドレスや、誰もが知っているキャラクターのフィギュアの他、イベント会場に設置するような巨大作品になると、何百個ものバルーンを使い1日がかりで作り上げる。「海外では誕生日プレゼントやホームパーティの装飾として使われることが多く、バルーンが日常に浸透しています。日本ではまだまだ触れることが少ないですが、もっとバルーンに愛着を持ってもらえるよう、すそ野を広げる活動をしたいです」と日本での普及を望む。

19年6月には、アルカイックホールでバルーンアートの全国大会「第16回ツイスターズ2019in関西」が行われる。たけむぅーさんが実行委員長となり、関西では14年ぶりの開催。尼崎で決まるバルーン界のチャンピオンを見に行きたい。


取材と文/立花莉絵子(たちばなりえこ)
今年5月、尼崎に引っ越しました。駅名と名前が一緒なので、すぐに覚えてもらえます。