神主のぶらり街歩き

連載第31回 スナックへぶらり

「江田宮司、今回のぶらりも特集と同じ内容でお願いします」

おいおい、神主にスナックのことを語らせるのかい!なんて思いましたが、編集会議から1カ月近く経って、ようやく私ならではの視点でスナックを語ることにしました。

新聞記者時代の先輩に連れられてスナックデビューした私。退職後も神主の先輩方から「江田くん、ちょっと行こか」とお誘い頂いて、足を運ぶことが多々ありました。そんな私が店に入ってまず確認するのが、商売繁盛のお札や、えべっさんの笹の縁起物などを祀っているか、ということです。きっちり祀られているお店に入ると、私自身も清々しい気持ちになりますが、ときどき、お札や縁起物を祀る方角が違うことがあり、思わず「この向きの方がいいですよ」とお節介してしまうこともあります。

また、スナックなどは「水商売」とも言いますが、貴布禰の大神様が「水」の神さまであることから、当社のお札を受けられてお祀りされているお店があります。これ、作り話ではないですよ。水商売をしていて、さらに水の災いに巻き込まれることが多かったため、わざわざ当社までお参りに来てくださったとのことでした。

そして、こんなこともあります。神主の会合終了後にスナックに行くこともありますが、10名位の団体で伺うと「すご~い。全員神主さんなんて、めっちゃ縁起が良いやん!」て、ママさんに喜ばれることも。それは羽振りが良いからではなく、日ごろおめでたいことに関わる機会の多い私たちを歓迎してくれているからなのです。もし、お坊さんが団体でスナックに入ったら、どのような反応があるのでしょうかね? 「羽振りが良いから」って喜ばれているのでしょうか??それとも…、やめておきますね。

あとはこんな経験も。閑古鳥が鳴いているスナックに入り、私たち神主だけで過ごしていると、どんどん後からお客さんが入ってきて店は満席に。ママさんからは「やっぱり福の神やねぇ」。でもこれにはからくりが…。神主の会合は夕食の開始時間が早いので、スナックへ繰り出す時間も早いのです。でもこのからくりは内緒のままで、これからも「福の神」を演じ続けることにしましょう。


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンなお社きふねさんの第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。ラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」(FMあまがさき毎週水曜日夜8時~)も好評放送中。podcastも。