スナックオーナーになりたい!

今回の特集でわかったのは、コミュニティカフェとか居場所づくりとか言われるずっと前からスナックはそういう場所だったということ。ここまで読んでスナックを開きたくなったあなたのために「一体いくらかかるのか」。金融マンがそろばんを弾いてみました。
[齊藤成人(銀行員)]

いつかはクラウン?それともスナック?

「ワシが銀座に店だしてやるわ」と、金持ちのおっさんがホステスに言うドラマの中のセリフがあります。いわゆるパトロンという奴ですが、職業・パトロンになるには、いったいいくら必要なのでしょうか。

感覚的に銀座のクラブとなるとどう考えても無理でも、尼崎でスナックをだしてあげるくらいなら、普通のおじさんでもパトロンになれるかも!! そこで調べてみました。

阪神尼崎でスナックを開業しようとすると、徒歩10分圏内の飲食ビルの平均は、家賃が月坪1万5千円、敷金・礼金が3カ月というのが相場です。スナックは10坪もあれば十分な広さ。そうすると、家賃は月15万円なので、敷金・礼金で45万円。これに不動産仲介料と前家賃として追加で4カ月分を上乗せして、物件取得費は合計105万円になります。うぅ、ここでいきなりくじけそう。

物件がうまく借りられたら、お店づくりに入ります。看板費用に内装設備、厨房設備に什器備品。青天井にかかってしまいます。少しでも節約するために、居抜き(内装や什器備品などが前のお店のまま残っている物件)の店舗を借りることに。お金がかかるので看板を付け替えるくらいの手直し工事で抑えます。

スナック売上の平均的構成割合

忘れてはいけないのは、最初のお酒の仕入代や運転資金。これらを加味すれば、合計250万円(新車のクラウンよりも安い!)になります。これならなんとか、お気に入りのホステスにママさんをさせてやることができそうです!! ただ、スナックの場合は経営が大変ですから気をつけてください。

スナックは、売上を100とした場合、原価15、人件費60、家賃10、経費10、そして残りが利益5となるのが、黒字の店の平均なのです。だとすれば、この店を黒字にするには、月150万円、1日当たり5万円の売上が必要となります(家賃は対売上高比10%ですので、月の家賃15万円とすると、月商は150万円となります)。

尼崎のスナックの平均の客単価は1人3000円くらい。これで1日5万円を売り上げるにはコンスタントに毎日17名のお客にきてもらわないといけません。それは、なかなかしんどいかも…。そうなると、パトロンとしては、毎月の赤字を補填してあげなくてはならず、もう心がくじけそう。ちなみに、あなたが男気をだして渡した250万円。そのお金には贈与税が発生しますので、税務調査にはご留意ください。

開業資金250万円試算の根拠