レトロで新しい尼崎最深部 五色横丁へ
杭瀬駅の北、道幅わずか2メートルの歓楽街「五色横丁」。スナックのレトロなネオンと古い住宅が並ぶ風景で、大和ハウスのCMにも使われた街を歩いた。
地元の人に案内してもらおうと、杭瀬中市場の豆腐屋さん「宮島食品」の宮島社長と、らーめん工房「あ」の草野社長という杭瀬小同級生コンビ(69才)にお願いして連れて行ってもらった。とはいえ「最近はあまり横丁には来てないからなあ」とさみしい声。まずはお好み焼き屋の「たこ政」へ。
すると、店主の宮川恵美子さんもなんと二人の同級生(なんというミラクル!)。横丁で生まれ育った彼女は、寿司職人だった父の店[寿司政]から店を引き継いだ。「お店がどんどん増える中、昭和25年頃にうちの父が五色会という組織を作りました。路地裏も含めると120軒はあったんとちゃいますかね」という宮川さん。「ダンスホールが3軒あって、大同鋼板、シオノギといった会社のお客さんでにぎわいましたよ。私が高校生の頃が一番栄えていたと思います」ということは昭和30年代後半が最盛期だった様子。
宮川さんから紹介された次のお店[志の]へ。カウンターだけの落ち着いた小料理屋だ。マスターの瀬戸口さんが横丁に店を開いたのは5年前。かつて杭瀬の「駅街」で24年間うどん店を営んでいたとあって、草野さんも宮島さんも顔見知りのようだ。「通りで喧嘩が絶えなかったとか、よくぼったくられた、なんていうのは昔の話。今は安心して飲めるお店ばかりですよ」という瀬戸口さんは現在五色会の会長を務める。 [志の]で新鮮な魚貝や丁寧な一品料理の味と安さに感動しながら、このレトロなスナック街が最新スポットになる日を予感しつつ、五色横丁の老舗スナック[幸生]へと向かったのだった。