私をスナックに連れてって幸生[kosei] 杭瀬五色横丁

人のつながりや街の居場所が大切と言われる一方で、今も市内に208軒。コンビニの数よりも多いけれど、行ったことのある人は意外と少ない街の社交場「スナック」に、街のセンパイたちに連れて行ってもらいました。

本音はママに聞いてもらおう

ママホヅヱさん
義母からお店を継いだ3代目ママ。「お客さんに感謝やね」と人との出会いを心から楽しむ。

センパイ寺田尚敬さん
街の古い話をよく知る「杭瀬の生き字引」。ママとの昔話に花を咲かせる。

江上昇さん
40才にしてはじめてのスナック。ガチガチに緊張しながら扉を開けると…


昔の五色横丁をよく知る寺田センパイは、30代の頃から40年通う大ベテラン。カウンターではキャリア44年のホヅヱママが手際よく氷を砕き、水割りを作ってくれる。まずは焼酎で乾杯、と思いきや「飲み始める前に『ママもどうぞ』と一声かけるといいよ」と先輩から教わる。なるほど。めっちゃ言いたい。これが似合う男になって再訪しよう。

ふと気づくと目の前に小料理とナッツが綺麗に小皿に盛られて並んでいる。会話の妨げにならぬよう、そっと料理を出してくれるママの技術に驚愕。緊張して箸をつけずにいると、いつのまにか箸が袋から出され、きちんと箸置きに乗っている。日常にはない大切にされている感。次第にこの空間に身を委ね、心地よく過ごす自分がいる。

「杭瀬では[夕鶴][幸生][青い城]の三つは有名店やったね。若い僕らには憧れのお店でしたよ」という寺田さんの昔話も面白いが、合間に自分のこともポツリポツリと話してみる。そういえば、妻には仕事の苦労話をすることはない。奄美出身のママはニコニコと「大変ねぇ」と聞いてくれる。ここにしかない安心感。ただ、笑って受け止めてもらえる。スナックの楽しみ方が少し理解できた気がする。気になる料金も、居酒屋と変わらないくらい。これなら通える。

次は後輩を連れ、普段は言わない愚痴や人生論をぶつけてみようか。きっとママが優しく包み込んで、本音を引き出してくれるはず。その時は忘れずに「ママもどうぞ」の一言を添えて。

この日のチャーム

この日のチャーム(付き出し)は「小松菜とあげの炊いたん」。ちょっと辛めの味付けでお酒がすすむ。

杭瀬本町3-1-53 TEL:06-6401-5944
20:00頃~0:00 月休