私をスナックに連れてってクロ木[kuroki] 尼崎中央

人のつながりや街の居場所が大切と言われる一方で、今も市内に208軒。コンビニの数よりも多いけれど、行ったことのある人は意外と少ない街の社交場「スナック」に、街のセンパイたちに連れて行ってもらいました。

着物のママに会いに行く。

ママラウンジクロ木 田村繁子さん
創業28年。大人の居場所を守るママは、普段はあまり歌わないが美空ひばりが十八番なんだとか。

センパイビストロジャパン代表 藤田壮一さん
肉酒場、スナックなどの飲食店を尼崎中央で経営する若き経営者。見た目の豪快さと裏腹に細やか気遣いは先輩の風格たっぷり。

内藤晴菜さん
取材中「うちで一緒に働かない?」とママから熱烈なラブコールを受けるアラサーライター。


噂に聞く、古き良き大人の遊び場。初のスナック体験は、若くして豪胆な雰囲気をまとう藤田センパイに連れて行ってもらった、初心者にはぜいたく過ぎる名店。というかここ、高級クラブですよ。

出迎えてくれたのは上品な着物の繁子ママ。そして6人の素敵なお姉様方。さっそく藤田さんは「久しぶり」と声を掛けられている。週に一度や月に一度の来店が「よく来るお客さん」、2カ月あくと「久しぶり」のようだ。

藤田さんは2年前から、まちを知るために様々なスナックへ通ったという。この店で学んだのは、昔の日本では当たり前だった、「お客様にNOと言わない精神」。ママや女の子たちの最高の心遣いへの信頼が、藤田さんに「大事な人を連れてくるのならココ」と言わしめる。

ママのグラスへのこだわりもすごい。ウイスキーの水割りが進まない様子を見てワインを出してくれたのだが、その、ワイングラスでの乾杯の澄んだ音。まさに上質なもてなしだった。

ところで「女性がスナックに行ってどうするの」と思う人もいるかもしれないが、お姉様方は優しく話を聞いてくれるし、甲斐甲斐しくグラスの汗を拭いてさえくれる、日常ではちょっとない世界に癒されるのだ。

酔いも進み、女の子たちと戯れるセンパイに聞いてみた。スナックで人気者になる秘訣は何ですか。「会話のキャッチボールですね」。センパイの教えはシンプルだった。単純なように見えて、案外できていないこの教えにうなりながら、尼崎の夜は更けていったのだった。

今週のスポットライト

カラオケ履歴をチェックすると「石原裕次郎ナイト」が開催されていた様子。誰もがここではボスになれるのだ。

神田北通2-22-4 尼崎第一ビル8F
TEL:06-6411-8110 19:00~0:30 日休