ふるまいで生まれるマイパブリック

中央公園には1日に何万人もの人が行き交う。でも、そこで人とおしゃべりしたり、かかわるような機会はなかなかないもの。そこで一杯のお茶やおやつをふるまってみたり、何か特技を披露して一緒に遊ぶきっかけを作るなど、ふるまいという行動を通じて、自ら公共的な風景を作り出そうという「マイパブリック」の実験を中央公園でやってみた。

『マイパブリックとグランドレベルー今日からはじめるまちづくり』(田中元子・晶文社)では、欲しい公共を作るためのアイデアが満載でまさに必読の書。

皿回しふるまった人
中村美果さん
皿を細い棒の上に乗せて回す曲芸の体験をふるまい。興味を持った人が続々と近寄っていき、中村さんに教えを請いながら練習した。「カンボジアから働きに来ている人とも話せて、皿回しがコミュニケーションのツールになりました」。
甘茶ふるまった人
中平了悟さん
夕方から2時間の間に、7ℓの温かい甘茶をふるまったお寺の住職。お礼にとアメチャンを持ってくる人や、般若心経を読む人、甘茶を飲みながら昔話に花を咲かせる夫婦などがいた。
おつまみふるまった人
立浪雅美さん
スルメやうずらの卵、ジャーキーなどのおつまみをふるまった立浪さん。日が出ているうちは立ち止まる人が少なかったが、日が沈むとお酒を持った人が集まり、最後には宴会のような一体感が生まれた。
温泉ふるまった人
稲里美さん
台車を押しながら自身が経営する蓬萊湯から湧き出る温泉水を使った化粧水や石けんの試供品を次々とふるまっていく。「不審がられるかと思ったら、みんなふるまわれることに対してウエルカムでした」。
似顔絵ふるまった人
綱本武雄さん
本誌「南部百景」でおなじみの綱本画伯はハガキサイズの似顔絵(なんと色付き)を描いて、総勢7人にプレゼント。モデルになった兄弟はもちろん、お母さんも「これ無料でいいんですか」と大喜び。

ふるまい市

4月に上坂部にある西正寺で開かれた「ふるまい市」に出店した人たちが、お寺から街へと飛び出した今回の実験。また、立花にある小林書店では「マイパブリック」の提唱者・田中元子さんを招きトークイベントが開催されるなど、新しい公共を自ら作ろうという動きはここ尼崎でも盛り上がりつつある。