園田学園女子大学近松研究所に行ってみた。

浄瑠璃、歌舞伎に加えて能・狂言や落語などの演劇、芸能文学にまつわるライブラリーが園田学園女子大学にあった。その名もずばりな「近松研究所」を訪ねてみた。

月~金曜 10:00~17:00 土日祝休他にも閉室日があるので訪問時は事前に電話で確認を。TEL:06-6429-9928

なんと「必殺仕事人」などの題字を手がけた竹内志朗さんの作品!

園田学園女子大学のカフェテリア。女子大生たちの喧騒あふれる建物の3階奥にその研究所はある。1989年に設立された同所は、その名に冠した「近松門左衛門」を中心に、近世の演劇や芸能、近世文学の研究機関だ。

迫力ある看板に圧倒されながら、扉を開くと気さくな所長が出迎えてくれた。同大学教授でもある乾安代さんの案内で館内をめぐる。

「近松ビギナーなんですけど」と伝えると「まずはこれを読んでみて」と2冊の本が手渡された。2代目所長の故・松平進先生の著書『近松に親しむ その時代と人・作品』(和泉書房)。近松門左衛門の生誕地の謎ときから、辞世に秘められた人生観を探る作品。もう一冊は『近松門左衛門三百五十年』(和泉書房)。こちらは2003年に生誕350年を記念して開催された回顧展の図録的一冊。

所内の視聴覚室ではDVDやビデオで実際の上演も見ることができ、陽当たりのいい閲覧室は、文楽や歌舞伎関連本をゆっくりと読むのにぴったり。貴重な床本や舞台道具なども所蔵されていて文楽ファンも大満足の研究所が、すぐ近所にあったなんて。

最後に素人ながら「で、先生、近松の魅力ってなんなんでしょう? 」などと聞いてみる。「人間らしさが注目された元禄時代の気分を描いた名作家。彼の手がけた作品は説教くさくならずに、エンターテイメントとして人間の真理に到達しています。だから時代を越えても愛されているのでしょうね」と教えてくれた。

近松研究所では乾先生の公開講座も企画されるなど、ビギナーはもちろん浄瑠璃や歌舞伎好きにもぜひ訪ねてほしい、尼崎が誇る研究所だった。

「私はこの2冊で所長になれました」という乾先生の大推薦本。
江戸時代の舞台風景を伝える浮世絵の企画展示も。
江戸時代の舞台風景を伝える浮世絵の企画展示も。
貴重な床本(台本)も大量に所蔵されている。

所長の乾安代先生

親しみやすい語り口で近松作品の魅力を伝える4代目所長。専門は中世の日本文学。