サイハッケン トップ級(クラス)のスイーツ高校生が尼崎にいた。

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左から中田さん、中川さん、横山さん。

製菓実習室はホテルやレストランの最新設備を完備。

今年、「スイーツ甲子園」で熱い挑戦をした高校生が尼崎にいた。調理器具メーカー[貝印]が主催し、テレビ放映もされるこのコンテストは、パティシエを目指す高校生の夢の舞台。3人1組のチームで、今年のテーマ「クリスマスケーキ」に取り組んだ。

挑戦したのは、阪神尼崎駅南にある[育成調理師専門学校(以下「育成」)]の高等課程に通う高校2年生の横山遥風(はるか)さん、中田大智(だいち)さん、中川華鈴(かりん)さんの3人。「中学生の頃からテレビで見て憧れていた」という横山さんが二人に声をかけた。同校からスイーツ甲子園は初挑戦。学校も完全サポートで、製菓担当教員の指導の下、放課後の特訓や、卒業生で有名ホテルのパティシエからアドバイスも受け、チョコツリーがのったチョコレートケーキで挑むことになった。

応募総数443チームの中、書類選考と予選大会を経て決勝に進めるのはわずか4チーム。この狭き門を「育成チーム」は見事突破した。

育成調理師専門学校
開明庁舎の南にある学校は高等課程もある専門学校で、中学を卒業し食のプロを目指す生徒が県内外から集まる。
開明町2-30-2 TEL:0120-06-6921
ホームページ

9月半ばの東京での決勝大会は、初挑戦の大舞台ながら落ち着いたチームワークを発揮。優勝こそ逃したが、特別賞に輝いた。「夏休みは毎日10時間特訓した(中田さん)」という努力が実を結んだのだった。

育成の創業者、植木江つは1926年生まれの独立心旺盛な女性。戦後疎開先から戻った芦屋で編物教室を主宰していたが、ある日、たまたま降り立った尼崎で、当時市長だった阪本勝と出会い、この地で教室を開くことに。さらに縁がつながり、56年には前身となる育成女子総合学院を開明町に開校した。

「女性が社会で活躍できるように、との強い思いがあったようです」と言うのは現校長の植木砂織さん。これまでの卒業生は1万2千人を超え、その多くがホテルや有名割烹などで活躍する。

今回快挙を成し遂げた高校2年生トリオをはじめ、未来の料理の鉄人たちが尼崎から巣立っていくのが楽しみだ。


取材と文/香山明子
かつて尼崎で銘菓と言われた(らしい)「ランキン」の復活をぜひ高校生トリオに託したい。