Why EDO people!?代表作ツッコミ紹介 no.1

江戸時代の色恋沙汰を描いた「世話物」代表作のあらすじを超訳。今様の恋愛事情と照らし合わせ、ツッコミを入れながらご紹介。

超訳あらすじ no.1
曽根崎心中 [1703年(元禄16年)]

マジメでマヌケな男の悲しすぎる恋

主人公の徳兵衛くんは超がつくマジメで、25才の独身イケメンだ。おじさんが営む醤油屋で手代(一流商社の課長クラスってところ)として、仕事もがんばる彼の唯一の楽しみは、お茶屋通い。お気に入りの遊女、お初ちゃん(19)に入れ込みすぎて、身請け(お店にお金を払って身柄を引き取ること)して「いつか僕のお嫁さんになってください」とプロポーズした。実はお初ちゃんもイケメンの彼に一目惚れしていたというラブラブぶり。

一方、それを知りつつ、醤油屋社長のおじさんは、このマジメな徳兵衛くんをとても気に入っていて、自分の姪と結婚させて跡取りにしようと画策する。徳兵衛の故郷のお母さん(継母)にこっそり結納金(今なら約320万円)を渡して、縁談を強引にすすめていた。

それを知った徳兵衛くん。「社長、勘弁してくださいよ」と言うと、「ほな金返せ。そんでクビや」と告げられる。それでもお初ちゃんのことを好きすぎる彼は、結納金を母親からなんとか取り返す。社長に返そうとしていたところ、友達の九平次にばったり出会う。「ちょっと金に困ってんねん。3日間だけ貸してや」という相談に、マジメで友達思いの徳兵衛くんは、そのお金を貸してやることに。

3日経ってもお金を返してくれない九平次。ばったり出会った時に「ちょっと、九平次くん、あのお金どうなったかな」と聞くと「え? なんのこと? 俺借りてないし」としらばっくれて、仲間と一緒にボコボコにしてくる始末。

友達に裏切られるわ、社長に返す金はないわ、で泣きながらお初ちゃんの店に行き、「どうしよう」と彼女に相談すると「もう死ぬしかない。あの世で一緒になろう」と二人で曽根崎の森に向かうのだった。

“彼の唯一の楽しみは、お茶屋通い。”

どこがマジメな男やねん!

「風俗通い」とは少し趣きが異なります。現代と違いお茶屋以外での婚前交渉はご法度。遊郭通いは恥ずかしいことではありませんでした。男同士の社交場や、結婚相手との出会いの場としても機能していたようです。お店で働く遊女はランク付けされていて、男性は甲斐性にあわせて擬似恋愛を楽しむことができました。しかし、これが本当の恋になったりするから、事件にもなるわけで…。

“もう死ぬしかない。あの世で一緒になろう。”

何も死なんでもええのに…

徳兵衛はお友達の九平次にハメられて、詐欺師扱いされます。「自らの身の潔白を証明するためには、もう死ぬしかない」と現代では極端な考え方ですが、当時は死をもって無実を晴らす行為はある種の「男気」とされていました。今とは命の重さが違ったのかもしれませんね。


ツッコミへの解説コメント
近松研究所所長 乾安代さん