神主のぶらり街歩き

連載第38回 大嘗宮(だいじょうぐう)へぶらり

昨年末に行われた『南部再生』編集会議を「出張につき欠席させていただきます」とお返事したところ、「神主の出張って何?」って。そこで、今号では「神主の出張事情」を赤裸々に告白します。

「神主さんはいつも神社にいる」と思われている方も多いかもしれませんが、そんなことはありません。例えば、家を建てる際の「地鎮祭」。これは現地でしか行えない神事ですので神主が神社から出かけるため、業界用語で「出張祭」に分類されます。他にも工場内に祀られているお稲荷さんでの「安全祈願祭」や、葬儀会館での神道式葬儀「神葬祭」も出張祭になります。遠い場所だと半日はつぶれてしまう出張先もあるほどです。多くの神社は神職が一人しかいませんので、その時間は神社でのご祈祷ができないということになります。

神事以外で外出となると、県内の神社を統括する兵庫県神社庁の会議に出席をしたり、その神社庁が主催する関係者大会や講演会・研修会に参加することなどが挙げられます。一般の会社でいうと、ただの外出になるかもしれませんが、兵庫県は広く、姫路や丹波で会合があることもありますので、県内出張になると私は思っています。

そんな中、今回は堂々と「出張」といえたのは、明治神宮で開催された神社本庁主催の御代替わりを祝う会に尼崎市内の神職を代表して参加し、大嘗祭が行われた大嘗宮へもぶらりしてきた昨年末の1泊2日の東京出張だったから。その大嘗宮は、古代の工法そのままの簡素な建物で皇居の東御苑に特別に造営されていました。この場で、昨年の11月14日から15日に、数ある祭祀の中で最高の重儀、天皇御一代に一度しか行われない大嘗祭が行われていたのかと想像すると、身震いさえするほどでした。平成2年に行われた一般参観は43万人が訪れましたが、今回は78万人が足を運んだとのこと。平成の御代を国民とともに歩まれた上皇様と上皇后様が、御皇室と国民との結びつきを強くされた結果だと思います。

今回はとても充実した初の東京出張。当社の場合、丸々2日間、何も仕事を入れないというのはなかなか組める予定ではありませんので、とても貴重な機会を頂けたと思っています。この経験を今後の『南部再生』に活かしていきたいと思います。出張取材、経費が出るなら大歓迎!!!


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンなお社きふねさんの第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。ラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」の過去の放送はインターネットでお聞きいただけます。