3時の働くあなた

大晦日の貴布禰神社

お賽銭箱の回収作業。ちなみに、おみくじは何回ひいてもいいらしい。凶は50分の1、大吉は50分の15の確率なんだとか。江田宮司曰く「凶にも参考になることが書いてありますよ」。

本日は「平成最後の」元日、平成31年1月1日。今夜の働く(午前)3時のあなたは、「神主のぶらり街歩き」のコーナーでおなじみ、江田政亮宮司さんの貴布禰神社を、逆にぶらりと訪れた。

三和本通商店街を南に抜けたところにある貴布禰神社は尼崎の総氏神で、雨や水の神様が祀られている。夏季大祭として開かれる8月1日、2日の尼崎だんじり祭が有名だが、1年を通じて最も忙しいのはだんじり祭ではなく、お正月の前後。特に明け方まで眠れないほど忙しいのは、唯一この日、大晦日の夜なのである。

年越しの準備は例年12月20日前後から始まる。しめ縄や提灯、のぼりの準備はもちろん、おみくじをくくる紐をつけるところまで。これを大晦日までに完了していなくてはならない。ちなみに、おみくじをくくる紐は三が日の間、見張っていないとすぐにいっぱいになる。そうなると、おみくじを低木の茂みの奥の奥にくくりつける輩がでてくるので要注意なのだそう。

大晦日の夜、貴布禰神社では午前0時からだんじり保存会のみなさんにより、樽酒、ぜんざいが無料でふるまわれる。これが宮司のお夜食になるのかと思いきや、その時間帯、江田宮司は新三和商店街にある天龍神社の歳旦祭へ出張しているため、ふるまいにはあずかれないのだ。

天龍神社から戻ってからは、お守りを求める人や祈祷などへの対応。この日も待ち合わせた午前2時はご祈祷の最中だったし、取材中の午前2時33分には御朱印 帳をもった方が。そして午前3時になっても、社務所にはおみくじやお守りを求める若者たちの姿が見られた。

午前4時までには社務所を一度閉めて就寝するものの、6時には起床。お守りの準備やお供え物の確認、御本殿や授与所を整え、元日午前10時からの歳旦祭に備えるのだという。歳旦祭を終えても新年のご祈祷が15分刻みで夕方6時頃まで断続的に続くという。

「大きい神社は正月に夜通し開けていても神主がたくさんおられるから、ご祈祷などの対応ができますけど、うちのような小さい神社ではどこかで休まないと体がもちません」実際に三が日は神主の資格を持つ妹さんにも手伝ってもらわないと手が回らないという。

このあと、江田宮司の息子さんと境内に7か所ある、お賽銭箱の回収作業を手伝わせてもらった。「バブル期でも一万円札が入っていたことはありません(笑)」

この日のお夜食 「今年はなし」

今年は忙しくて夜食の時間はなかったが、例年は境内で販売している出店からの差し入れのベビーカステラを食している。


取材・文/立石孝裕(たていしたかひろ)
4月に尼崎市では「生涯、学習!推進課」という世にも珍しい課ができます。