全尼市民がツッコんだ尼崎平成事件簿

ここで紹介するのは尼崎で実際に起きた、平成を揺るがせた事件です。

CASE 1 市議会カラ出張事件

平成4年9月30日。保守系議員のカラ出張が発覚したところからその事件ははじまった。当時の最大会派に所属していた元議長が、北海道と沖縄などへの行政視察を申請して24万5千円の旅費を支給されながら、実際には訪れておらず、出張報告書を偽造して提出していたという。

これが明るみに出たことを契機に、議員の個人視察をチェック体制の甘さが露呈し、次々と議員の不正出張が発覚したという事件。

連日マスコミで報じられ、青森県八戸市への視察報告をしていた議員が「はちどへ行った」と強烈なボケをかましたり、出張でゴルフをしていた議員が「ゴルフは健全なスポーツ。ソフトボールやバレーボールならどうなのか」と逆ギレするなど、尼崎市議会は全国のお茶の間にモラルの低さを示してしまった。

これに対して市民も黙っていない。適当なところで幕引きを図ろうとする議会と事務局に対して、公文書公開を求めるデモ行進にシュプレヒコール、さらにチンドン屋となって不正議会を揶揄する替え歌を歌い街を練り歩くなど、尼崎市はお祭り騒ぎとなる。

最初の発覚からおよそ半年後、調査委員会による議員への事情聴取の結果、なんと全議員が不正出張していたことがわかった。全議員が市民から刑事告発される事態にまで進展し、平成5年5月25日、ついに市議会は自主解散することとなった。

6月の出直し選挙は52人の定数に対して89人が立候補、うち63人が新顔という異常事態。投票率は56%、尼崎の政治が大きく変わった選挙となった。

事件の顛末は

『実録市民VSカラ出張議会』に詳しい。図書館で貸し出し可。情報公開や市民参加の源流がここにある(かもしれない)。

CASE 2 消えたレターケース事件

平成7年度から9年度にかけて尼崎市築地土地区画整理事務所などが高級文具を大量に購入。433個のレターケースのうち、96個が忽然と姿を消していたという失踪事件である。

震災復興事業の国の補助金を消化するために大量購入されたレターケースの行方をめぐっては、市民オンブズ尼崎が市長に不明分の費用の返還や真相究明を求めて監査請求を起こした。しかし、違法性や不当管理の実態を明らかにできず、平成12年2月には市職員が窃盗の容疑で告発されるなど、公金の不正利用が世に問われる事件であった。

CASE 3 湯けむり捜索事件

平成22年8月25日から10月17日まで、銭湯に暮らしていた男がいた。JR尼崎駅南の24時間営業のスーパー銭湯「あま湯ハウス」での出来事。フロントでチェックインの際にロッカーキーを受け取り、入場料や飲食代はすべて退出時に精算するシステムであったため、その男は入浴と食事、休憩室での就寝を繰り返しながら、潜伏していたという。

退出記録のない利用者がいることを不審に思った同銭湯は9月から調べていたが、広い館内での捜索は難航を極めた。発見されたのは半年に1度の消防点検での臨時休業が決め手に。ほかの客がすべていなくなり、ついに男はフロントに自首。所持金は約4000円。54日分の精算は15万8000円に達していた。