THE 技 あこがれの必殺技夢見て

ものづくりのまち尼崎に息づく匠の技の数々。最先端技術、職人技、妙技、必殺技…。
アマから繰り出されるワザに迫る

ボクシング&スポーツジム BMC
武庫町1丁目55-22-1F TEL:06-6431-6667 ホームページ

初代タイガーマスクに憧れ、大人になったら必殺技が繰り出せるものだと思っていた筆者。尼崎に「プロレス道場」なる場所があると聞き、40代も半ばにして自らの技を手に入れようと、その門を叩いた。

武庫町にあるボクシング&スポーツジムBMC。格闘技トレーナー の吉沢陸さん(44) に話を聞いた。

吉沢さん自身も子供の頃の夢はプロレスラー。憧れのレスラーが空手をしていたと知り空手道場へ入門、もっと強くなりたいと、ボクシング、キックボクシング、柔術、総合格闘技など、あらゆる格闘技や武術を習い、海外でも武者修行をしてきた本格的な格闘家だ。

そんな彼がプロレス団体「尼崎プロレスAWF」を設立するようになったきっかけは『マスク・ド・41』という1本の映画。41才のプロレスマニアがプロレス団体を立ち上げるというコメディで、役者が肉体改造をして演じる姿に感動し、吉沢さんは子供の頃の夢を思い出し、すぐさまAWFを立ち上げた。

本格的なプロレスの練習をするうちに「プロレスラーの本当の凄さ」に吉沢さんは気づくことになる。体を鍛えるのはもちろん、柔軟性がないと技をかける側もかけられる側も大怪我をする。これまでの格闘技との違いを体感したのだった。

しかしこれだとハードルが高すぎる。一般人にも楽しんでもらうため、吉沢さんは安全性を重視した「プロレスごっこ団体」を目指し、体力に応じた練習メニューを設けた。危険な技の禁止など独自ルールも定めた。

週1回のマット練習で技のタイミングや体の使い方を習得。月に一度は、練習生みんなで部材を運び、実際にリングを組んで本格的な練習をしている。10才から56才と年齢層は様々でマスクマンの姿も。

リング上では、ロープワーク、アームホイップ、ドロップキック、ブレーンバスターといった技が流れるように繰り広げられる。体づくりと達成感、そして子供の頃の夢が叶うフィットネス。これだ!取材後、即入会した。


取材と文/岡崎勝宏(おかざきかつひろ)
秘かに尼崎市民総プロレスラー化計画を企てている。