大人のサロンへ

R75が集い語り合う、いわゆるサロン的空間。ところで皆さん、どんな話してるんですか?

赤とんぼの里 大物町1-9

R75的ブーム 壁には羽生結弦くんの新聞全面写真。「会長がもらってきて貼ってくれてん」とメンバーもお気に入りの様子。

大物町にある「赤とんぼの里」。本誌「南部再生」を生んだ尼崎公害患者・家族の会の事務局があるこの建物の1階で、会員制のサロンが開かれている。公害患者やその家族として裁判を戦ったR75世代の仲間が集い、テレビを見たりランチを食べたりとくつろぐ様子は、まるで実家の居間。リラックスした彼女らの会話には、毒舌と笑いが入り混じり聞いていて飽きない。

「毎日来んと殺されてまう。最近見んから死んだんちゃうかて言われたらかなわん」と笑う山本茂子さんはほぼ毎日足を運ぶ。

「患者ということで地域から断絶された彼女らが集まれる場所が必要」と言うのは会長の松光子さん(86)。

この日は尼崎市の健康回復事業として中西ミユキ先生の指導で、歌を歌ったりお手玉を回したりする教室で盛り上がる。「公害の話?もう昔話をするのはここくらいかな」と柴田キヌ子さんが静かに当時の様子を語ってくれた。

貴布禰敬神婦人会 西本町6-246

R75的ブーム 近くのものが大きく見える拡大鏡が手芸部で大人気。「渡辺謙がコマーシャルしてるやつやん」とおすすめされた。

1954年発足という歴史ある婦人会。メンバーで手作りした作品を販売し、収益を地震の被災地へ義捐金として送る活動もしてきた。

取材の日は、8月の貴布禰神社の夏祭りで販売する小物づくりのため社務所に集まった。毎年、春先からお祭り本番までの半年間は月1回、10時から14時ごろまで、集まり制作を続ける。自宅でパッチワーク教室を開いているという倉田さんをリーダーに、分業でちりめん布を使った可愛らしい金魚のモビールがせっせと量産されていく。「手も動かすけど、集まった人たちとの世間話が楽しくてね」と倉田さん。

会員のほとんどが70代以上で、最高齢は90才の上野さん。「いつも上手に死ぬかを考えてるんよ…」と弱気に言うと、すかさず「よう言うわ!」「この人は、毎週スイミングに通ってて、バタフライまで泳ぐんよ」と、周りのみんなが声を揃えて教えてくれた。女性が集まれば、いくつになってもおしゃべりの花が満開だ。