R75+ はたらきかた

「生涯現役」時代のおしごと事情

建物に入るとオープンなカウンターに親切な受付担当が並び、お出迎え。毎月10日の入会説明会では仕事内容の紹介などもあり、多くの人でにぎわう。

生涯現役。なんて言うけれど、企業には定年制があり、高齢者を雇ってくれる会社もまだまだ少ないのが実情。そんなR75世代の強い味方、東難波町にある尼崎市シルバー人材センターを訪ねて、おしごと事情を聞いてみた。

60歳以上を対象に様々な仕事を斡旋するセンターの登録者数は現在4612人。「最近減っているのが若年層。といっても60代ですけど」と教えてくれたのは、同センター管理課長の稲田慶子さん。「昔は60歳ですぐに登録に来られましたが、定年延長などもあり75歳だとまだまだ中堅ですね」。平均年齢は72.7歳。92歳で達筆を生かして、筆耕として宛名や看板書きで活躍しているベテランもいるという。

「うちでご紹介しているのは、工場や現場での作業系、剪定や網戸張り替えなど腕をいかした職人系、掃除や洗濯といった家事系、駐輪場などの管理系、とさまざまです」。月10日以内、週20時間を上限にこれらの仕事につき、平均で月3万円くらいの収入になるという。おこづかいと社会参加の両立といったところか。

最近のR75事情について聞くと「趣味や孫の世話で忙しいようです。明治や大正生まれの人が比較的何でも引き受けてくださったのに対して、今はそれぞれのライフスタイルにあわせて仕事を選ぶ傾向にあります」という。その理由は世代観だけではなく、人材派遣業の多様化や介護現場の人材不足から、シルバー人材市場が活況を呈しているからというのもあるそうだ。

最後に、R75世代になった時のために、稲田さんに気持ちよく働くコツを聞いてみた。「今まで積み上げてきた自分の地位や立場を忘れて、頼まれた仕事を気概を持って引き受けられる人はとても尊敬されますね」という的確なアドバイス。現役世代の心にも刺ささりすぎる内容に、はたと膝を打ったのだった。

公益社団法人 尼崎市シルバー人材センター

東難波町5-19-5
TEL:06-6481-3380
ホームページ