神主のぶらり街歩き

連載第12回 阪神なんば線でぶらり

現在40歳の私が子どもの頃に、先代宮司であった父から聞かされていたのが、「阪神の西大阪線はな、将来名古屋と(線路が)つながんねんで」という阪神沿線住民にとっては夢のような話。しかし、その夢のような話が現実になりました。阪神なんば線の開通です。

残念ながら行き先は、名古屋ではなく奈良でしたが、それでも十分ステキ! 阪神尼崎駅に「奈良行き」って表示されているだけでなぜかワクワクします。その表示を見ているだけで十分満足なのですが、そのなんば線に乗ってみることにしました。参加者は小学4年の長女と1年の長男。そして私に顔が似ていると評判の幼稚園児の甥っ子(妹の長男)の計4名。直通運転だから、3人の子連れでも安心の乗車です。

最初は大阪難波まで行く予定でした。でもあっというまに着いちゃうんですよ。さすがは阪神なんば線。難波をすごくご近所さんにしてしまったようです。「せっかくやから奈良まで行こっか?」とこども達の了解を得て、そのまま終点奈良まで。「せっかく奈良まで来たから鹿見て帰ろっか?」とさらに足を延ばして奈良の街に繰り出しました。

まずは“神社関係者”ご一行ですので、春日大社に参拝。境内にはあちらこちらにお目当ての鹿が歩いていたり、座っていたり…。妻と妹に本当に奈良に行ってきたことを証明するために写真をパチリ。こども達は境内にころがる“鹿のふん”で大盛り上がりです。

「せっかく鹿さんに会えたから、大仏さんにも挨拶して帰ろっか?」と東大寺へ。こども達は大仏さんのあまりの大きさに唖然。「なんでこんなに大きいの?」というこども達からの質問に「小さかったら誰も見に来ないやろ」なんて適当に答えつつ帰路に就きました。

往復で1時間ほどの予定が4時間の小旅行になってしまいましたが、みんな大喜び。しかし、甥っ子のこの一言で疲れがどっと出ました。「ねえねえ、おじちゃん。ラクダかわいかったね!」。おーい、次は”阪神鳥取砂丘線“を夢見ますか!?


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンな南部のお社きふねさん(貴布禰神社)第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。