Do you 農?

20代の専業農家、工場で作る新鮮野菜、行列ができるトマト。実は尼崎南部が農業の最先端を走ってた…なんて知らんかったでしょ。

知ってました?南部のすごい農家を 小寺清隆さん(浜田町)

国道2号線の少し北側、浜田町のビニールハウスに朝早くから行列ができている。その数ざっと100人。「いつもありがとうございます」と、真っ赤に熟れたトマトを笑顔で手渡すのは小寺清隆さん(26)。就農6年目の農業青年だ。

住宅街に100人の行列は圧巻。何か分からず思わず並んでしまう人もいるのだとか。

農業をやりたいと思ったのは小学2年生の時。社会科見学で実家の田植えを見に来たのがきっかけだった。「それまでは実家が農家だなんて意識したことがなかったけど、その時に見た父の姿がかっこよくて」と将来の夢を決めた。以来一直線。高校と農業大学校で計5年間、栽培の技術を学んだ。

新たに手掛けたい野菜もあった。父の清兵衛さんが、かつて人手不足から生産を断念した”コテラのトマト“。「祖母がリアカーで売り歩いた評判の味を、何とか復活させたい」と稲美町の有名な農家へ修業に行った。技術を学ぶのはもちろん、経営の手法についてもたくさんのヒントを得た。

小寺さんの畑は住宅地にあって周辺の交通量も多く、人目につきやすい。だったら直売すればどうだろう。まだ青くて硬い時期に出荷する一般流通と違い、直売なら完熟の食べ頃をお客さんに届けられる。「これが都市農家の生きる道」と5年前から週3回、自慢のトマト販売を始めた。

大きなトマトが4つ入った袋入りで500円。お得な箱入りや大小サイズは様々。

「ここのはちゃんとトマトの匂いがする」「若い兄ちゃんを応援したくて」。長蛇の列に並ぶのはほとんどが常連さん。贈り物やおもたせにと、まとめ買いする人も多い。一度食べると美味しさの虜になるようだ。

「『売ってくれてありがとう』なんて言われるんですよ。ほんま、お客さんに支えられてます」と小寺さん。消費者の生の声が聞けるのも直売の醍醐味だ。

「全国から直接買いに来てもらえるような、日本で一番のトマトを作りたい」と夢は大きい。尼のおばちゃんたちの口コミに支えられ、全国デビューの日はそう遠くなさそうだ。


小寺さんのトマト

毎週火・木・土の9時と16時からの2回販売。収穫量によっては1回の時も(5月下旬~8月中旬までの期間限定)