サイハッケン 創業30年のバドミントン専門店があった

長く住んでいても意外と知らないまちの愉しみ。「へえ~」と目からウロコの再発見!
ディープサウスの魅力をご堪能ください。

「今ではかみさんの方が上手くなった」と猛さんも太鼓判を押すガット張りの作業風景。

“オグシオ”こと小椋・潮田ペアの活躍で最近一気に人気に火がついたバドミントン。しかし、ここ尼崎には30年も前からトップ選手御用達の専門店があった。

国道2号線と五合橋線が交わる十間交差点にある店は、その名も「シャトルコック」。テニスとスキー用品を販売していた森本猛さんが「オールシーズンできるスポーツを」と開店した。

とはいえ、当時はマイナースポーツ。専門店は珍しく、新聞や雑誌の取材が相次いだという。専門誌にも積極的に広告を出し、全国のバドミントンファンに知られる存在となった。

「遠征で来た実業団やら、九州の高校生が修学旅行の自由時間に店を探してきてくれたこともあったなあ」と振り返る森本さん。

バドミントン専門店 シャトルコック
東難波町5-18-5 TEL:06-6481-1616
10:00~20:00 水休
ホームページ

仕事の合間を縫って、店に来る高校生の試合にも積極的に足を運んだ。プレイを観るだけで「ガットのテンションが緩い」「シューズが足に合ってない」など、選手の不調の原因を一発で見抜く眼力は、監督も驚くほどだという。

さらに業界に変革をもたらしたのが、この店から生まれたガットの「機械張り」。それまでは人の手で張るのが主流。不均一だったり緩すぎたりと、うまくシャトルが飛ばない原因になりやすかったが、彼が考案した機械張りにより、シャトルがよく飛ぶ「スイートスポット」がきちんと出るラケット作りが実現。スポーツメーカーに提案し、“森本スタイル”が全国に広まっていったのだ。

まさに日本のバドミントンのレベルを一気に押し上げた功労者。尼崎の名店の存在をオグシオにも教えてあげたいものである。


取材と文/香山明子
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