サイハッケン かわいいワンちゃん用の温泉があった。

長く住んでいるまちにも意外と知らない魅力はまだまだあるもの。「へえ~こんなん知らんかったわ」という目からウロコの再発見!尼崎南部、ディープサウスの魅力をご堪能ください。

「ネットで良さげな銭湯を見つけてん」銭湯マニアの友人に連れられて、蓬莱湯へ行ったのは今年3月。天然温泉が魅力の、地元の銭湯だった。その3ヵ月後行くと、銭湯の外に「ペット温泉」なるものが!

アイデア湧き出るアマの秘湯
清潔感あふれる浴場。湧き出る温泉はアルカリ性の重曹泉で「美人の湯」といわれる
温泉シャワーを浴びるコロちゃん。10分500円で犬肌もスベスベに。おそらく世界初の試みだろう。

ペット雑誌にも紹介された注目のスポット。蓬莱湯の稲里美さんがアイディアの源泉だ。「自分も犬を飼っているから、こんなんあったらいいなと思ってね」。飼い犬のコロちゃんがデリケートな皮膚の持ち主だったことが「ペット温泉」につながった。人肌に優しいものは、犬肌にも優しいのだ。

お店をよ~く見回すと、いろんな仕掛けが見えてくる。温泉水の自動販売機に、太陽発電パネル、昔懐かしい銭湯ドリンク…。「目に見えない仕掛けもあるんですよ」と、マイナスイオン効果を狙った床下の炭について話しながら、瞳をキラキラ輝かせる稲さん。

蓬莱湯の娘として生まれ、ホテル接客、お笑いの脚本、番組企画、不動産…様々な仕事を経て結婚、夫の雅雄さんの会社辞職を機に、両親と一丸となった銭湯経営に携わる。

いろんな試みの始まりは、96年の阪神大震災。周辺アパートが半壊などのダメージを受け、常連さんが減少し、経営が困難になる。「そろそろ何とかしないと…」という危機感から温泉を掘ることを決意。

古きを大切にする父と喧嘩をし、資金調達に苦心。温泉が出る保証がない不安に駆られつつも、地元の人に励まされながら、00年に天然温泉が湧き出た。その時の喜びが、今につながっている。

「ペット温泉は、まだまだ利用されるお客さんが少ないんですけどね」と話しつつも、楽しそう。遊び心十分、なんともアグレッシブ。ただ面白い、ただ便利というだけでなく、どの仕掛けも、環境に人に優しいこだわり。

次はどんな仕掛けで、「あっ!」と言わせてくれるのだろう。■小森利絵


蓬莱湯

道意町2-21-2
06-6411-0567 駐車場あり
入泉料 大人340円
営業時間 15:00~23:30
定休日 毎週月曜日