THE 技 ものづくりを支えるワザ

ものづくりのまち尼崎に息づく匠の技の数々。最先端技術、職人技、妙技、必殺技…。
アマから繰り出されるワザに迫る

高丸工業株式会社 西長洲町3-6-30 ホームページ
数トンもの圧力で金属板にナットを取り付けるピアスガン

高丸工業は、産業用ロボットシステムの製造・販売メーカー。ロボット本体を作るのがロボットメーカーだとすると、システム製造は、ロボットに溶接や穴あけなどの道具を持たせ、その扱い方を教えることだ。

「これまでの産業用ロボットは、新しい機能を求めるたびにシステムも含め丸ごと買い換えなければならなかったし、他メーカーとの互換性もなかった。つまり、作る側の考えだけで作られてきたのです」と社長の高丸正さん。

高丸さんは従業員と共に、メーカーごとに異なるロボット操作の共通項を探り、1つのコントローラーで操作を可能にすべく研究を重ねた。それは、「あらゆるパソコンに対応した「ウインドウズ」のロボット版を作るようなものでした」。

そして、「長年の下請けの経験から、あらゆるメーカーのロボットの癖を知っていた」ことが功を奏し、ロボットを選ばずに後付けできる製品の開発に成功する。ロボットでは難しいとされてきた薄いアルミニウム板の溶接を可能にした製品や、従来よりも格段に美しく部品を取り付けられる製品など、単品で見ても業界を唸らせるに充分な新技術を盛り込んだ。

システムだけでなく、現在、数社と共同で取り組んでいるのは、人間と同じようにノコギリやハンマーを使える、手型ロボットの開発。従来のロボットアームの先に取り付けることで、できる作業は無限に広がる。ロボットがものづくりの現場を大きく変えようとしている。

「人が何十年もかけて習得する高度なワザでも、ロボットなら生まれながらにして可能。夢のヒト型ロボットに少しでも近づけていきたい」。■綱本武雄