宣誓!それぞれのスポーツマン精神

フリーテニス、eスポーツ、チアダンス。決してメジャーじゃないけれど、高みを目指す人々のスポーツマンシップにせまる。

宣誓!生涯現役。理由は「楽しいから」

橘公園クラブ
2000年創部のフリーテニスクラブ。最高齢84歳を含む男女19人が週3回練習に励んでいる。部員も募集中。見学・体験も随時受付可。尼崎市フリーテニス協会なる団体もあり20チーム以上が市内各地で活動している。(同クラブは非加盟)

シニアが街の公園で、卓球より一回り大きいラケットを持って、軟式テニスのようなゴムボールを4×7mのコートで打ち合う。スポーツの名は「フリーテニス」。卓球とテニスを掛け合わせたような競技の実態を探ろうと、市役所隣の橘公園を訪ねた。

「今から35年ほど前に、市民の健康づくりに、と尼崎市が広めたのがきっかけやと思うわ」と教えてくれたのは、橘公園クラブで会計を務める貝阿弥妙子さん(72)。尼崎市の体育指導員が道具を携えて市内の公園を毎日回って、公園に集まる市民にこの競技を指導していたそう。

貝阿弥さんも子どもを連れて公園で遊んでいる時に声をかけられ、試しに体験してみたらハマってしまった。まさに思うツボである。

当時、市内各地で子育て世代の専業主婦を中心にチームが立ち上がり、そのまま現在まで続けているベテランプレイヤーが多い。

「年末年始だけ休みで年始は3日が初打ち。真夏も真冬も楽しいからみんな集まってるねん」とかなりの打ち込みぶりだ。

フリーテニスの魅力をメンバーに聞くと「ここに来たら人とコミュニケーションが取れるし、運動したらご飯も美味しい」、「上手くならないから面白い」、「お喋り半分、ゲーム半分。ワイワイするのが楽しい」と口々に教えてくれた。

大会で上位を目指すでもなく、仲間たちと日々フリーに打ち込むスポーツの楽しさがあった。


取材と文 立花莉絵子

宣誓!オンラインで世界と戦う高校生

練習すれば上手くなる その感覚が楽しい
「eスポーツはスポーツじゃないと言う人も多いけど?」と聞くと「僕もそう思います」とあっさりしたじゅんさん。地元の少年野球でキャッチャーをしていたスポーツ経験と通じるものはあるが、やはり別物だという。

近頃話題のeスポーツ部はないか、と探していたところ、尼崎工業高校の関根先生から「うちにすごい選手がいますよ」と情報が寄せられた。聞けば中学時代にアジア大会で29位になったというプレイヤーだという。期待を胸に学校を訪ねた。

職員室で待っていると、少しはにかみながら目の前に現れたのはじゅん(仮名)さん(16)。機械科2年生で部活動には所属していないという。彼が得意とするゲームは「フォートナイト」。小学校6年生から世界中にプレイヤーがいるこのゲームをはじめた。フィールドの資材を集めて建築をしながら戦うバトルロイヤル形式のオンラインゲームで、大会では100人が参加し生き残りを賭けて競い合う。

「多い時は週に2~3回出場していましたね。エントリーは無料で、1位になると賞金が出るものもあります」というじゅんさん。大会といってももっぱら自宅から参加する。一つの大会でおよそ3時間。アジアや南米のプレイヤーたちのセンスあふれる動きに驚きながらも研究し、練習を重ねて新しい立ち回りを習得する。「練習すれば上手くなるのがわかるし、やっぱり勝つと気持ちいい」というじゅんさん。

でも今は大会には出ていないようだ。「フォートナイトは正直飽きたので、今はエーペックスで遊んでいます」と新たなゲームタイトルを教えてくれた。こちらも中学生からプレイしているが、まだまだ大会に出るレベルには達していないと腕を磨いている。

隣で話を聞いていた関根先生が思わず声をあげた。「実はうちでeスポーツ部を立ち上げようとしているんですよ。な、入ってくれるよな?」とじゅんさんの肩を叩くも、「あ、僕は大丈夫です」と見事な肩すかしをくらっていた。


取材と文 若狭健作

宣誓!マジでチアするオカンたち

尼崎オトンオカンチアリーダーズ
グンゼスポーツのリニューアルイベントではこのユニフォームでダンスを披露。メンバー絶賛募集中。その名の通り男性メンバーも大歓迎だとか。

「ぜひ体験してください」とのお誘いに、取材には私もジャージで参戦。毎週水曜11時から12時までのレッスンで、スタジオにはスポーティな服装で40~70歳代の女性が集まっていた。現在6名のメンバーからあふれる歓迎ムードが嬉しい。

キレのある動きと弾ける笑顔で踊りまくる。「尼崎オトンオカンチアリーダーズ」の結成は2022年1月。コロナの影響で施設のあり方を探っていたグンゼスポーツつかしん店がはじめた新たなスクールだ。

大阪でもスクールを運営する「JUMPS」所属の御池茜野さんがわれらがコーチだ。「あなたが思う春を身体で表現してください」という自己紹介でそれぞれの動きに大笑いし、入念なストレッチで心と体をほぐして、レッスンスタート。

応援するはずが自分が元気になっちゃった

元はアメフトの応援から生まれたチアリーディングは、遠くから見てわかりやすい動きが大切だという。まずは笑顔のレッスン。白い歯をできるだけ見せてアピールする。あかん、顔がつりそう…。

次にモーションを確認。両腕を大きく使ってVやTといったポーズを習う。「ゴー!ファイ!ウィン!」とコールと手拍子にあわせて動くと、あれ? なんかそれっぽい?

続いて音楽が流れダンスタイムへ。鏡に映るメンバーの動きを必死で追いながら頭は真っ白。「笑顔忘れてるよ!」。コーチの言葉に我に返り、繰り返すうちにワタシ最後はポーズを決めちゃってました。

「人を元気にするはずが自分が一番元気になった」と話す75歳のマッチさん。「尊敬できる先輩」と慕われる彼女は、国内最高齢のチアリーダーを目指していた。


取材と文 田井尚美