園田はスポーツ学園なのだ
全国大会常連校として数々の運動部を擁する園田学園女子大学。「スポーツの園田」で知られる強豪大学はいかにして生まれたのか。
キャンパスから庄下川を挟んで南側に2015年に完成したスポーツセンター。
卒業生がつなぐ「強い園女」
世界的プロプレイヤーを輩出したテニス部をはじめ、8つの強化クラブがそれぞれの競技に打ち込む。いずれも全国大会常連の強豪クラブだ。
100人以上の部員を擁する陸上競技部は全日本インカレ総合4位、棒高跳びではインカレ、日本選手権覇者が毎年誕生。ソフトボール部からは東京五輪金メダリストを輩出、インカレ上位常連校であり、関西学生リーグ54回の優勝を誇るなど、華々しい戦績が並ぶ。
「スポーツの園女」としての歴史は長い。大学は1963年に開学。1970年テニス部全国優勝などの実績から、運動部に力を入れ始めた。大学のスポーツ振興センターでは、学生が学業と両立しながら競技に打ち込める環境づくりに積極的に取り組んできた。同センター課長の石野清美さんに「園女」が強豪大学であり続けている理由を聞いた。
「指導者がクラブに専任でつくことでしょうか」と言う、自身も剣道部の監督を務める石野さんは言う。在学時に実績を挙げた卒業生たちが、ボランティアではなく専任の指導者として後進の指導にあたる。
学生への声の掛け方や試合後のフォローなど、選手の個性に合わせた細やかな指導が重要だという。さらに、「でも、やさしいだけではいけません。勝負ですから、勝つための意地をもつことの大切さはしっかりと伝えます」と続ける。
たとえば「水分の摂り方」。飲む目的、タイミング、選手やスポーツの特性に合わせて「勝てる飲み方」を教えこむ。論理的で科学的な指導。でもそれだけではないようだ。
「強くなるための芯が持てるように指導します。すると、指導者と選手との間に信頼関係が生まれます」と石野さん。
かつてのスポーツ指導は、スプリンクラーで水を撒くように、選手に対して一律に行われていた。今は、苗の一本一本に丁寧に水を与えるように、きめ細やかに行われる。そこで根を張り、大輪の花を咲かせる選手たち。
いつの時代も「勝ち」へのこだわりが求められることは変わらない。しかし勝つための指導は柔軟に変わる。
水のような柔軟な強さが「園女のスポ根」。その精神は、先輩から後輩へ、またさらに先へと、川が流れるように受け継がれていく。だから「園女は強い」のだ。
取材と文 畑恵子