サイハッケン 白ポストは尼崎発祥らしい。
明日誰かに話したくなる尼崎南部の知られざる話題をご紹介。「あれちょっと調べてきて」という情報も募集中!
立花駅の利用者なら見覚えがあるはず。
通称「白ポスト」、正式名称は「有害図書類回収ポスト」。いかがわしい雑誌やマンガなどを回収するあのポストは、実は尼崎が発祥らしいと聞いて、尼崎市教育委員会事務局社会教育課を訪ねた。
時は昭和38(1963)年、女性のヌードが掲載された雑誌など、いわゆる「悪書」が世にはびこった時代、尼崎市内の「河本医院」前に、ドラム缶を利用して作った回収箱が置かれた。これが全国に先駆けて設置されたものとされており、ペンキで白く塗られていたことから白ポストの名前の由来ともなった。
この小さな活動は、やがてPTAや婦人会を中心とする「悪書追放運動」となって全国に拡大。当時の悪書にはマンガなども含まれていたため、昭和30(1955)年頃から起こっていた「コミック雑誌追放運動」も白ポストの普及を後押ししたようだ。
もともとは民間主導で行われていた活動だったわけだが、昭和45(1970)年からは尼崎市が設置・管理を行っている。現在、市内には各地区に1カ所ずつ、阪神尼崎・武庫川、JR尼崎・立花、阪急武庫之荘・園田の各駅構内に設置されている。
回収の様子。この日も悪書の投函を確認できたが、入っていたのはほとんどがゴミ。
それにしても、なぜわざわざ人目につきやすい場所に置かれているのか。担当者によれば、「会社帰りの男性が、家に持ち帰りづらいので処分に困り、公園や河川敷に捨てたりするのを防ぐため、利便性の高い場所に設置しています」とのこと。そもそもが青少年に見せないようにするためのものであり、その元を未然に断とうというわけだ。また、通行量の多い場所で活動を周知する狙いもある。
肝心(?)の回収状況は、記録のある平成18(2006)年度から昨年度まで、6000点強から5000点弱を行ったり来たり。うち有害図書に分類されるものは2000点前後で横ばい。10年ほど前からはDVDなど図書以外も増えてきている。
その回収作業に同行してみた。担当するのは市の担当職員と市から委嘱された少年補導員の方々。地区ごとに1週間~2週間に1回のペースで行われる。回収されたものは分類され、有害図書やディスク類は溶解処分、その他リサイクルに回せるものは回収業者に引き取ってもらう。
その日によって回収量は異なるが、大変なのはゴミの投函が多いこと。これにはみなさん呆れ顔。当たり前だが、ゴミ箱では決してない。有害図書よりマナーの悪さが目立つとは、むしろそちらの方が恥ずかしい。
取材と文/大迫力
白ポストは自治体ごとにデザインが違うと聞いて興味津々。愛好家による写真サイトもあるので、チェックしてみてほしい。