杭瀬への想いで50メートルの移転
新店の看板メニューはサバーガー。平野鮮魚店の平野さん(左)がさばいた新鮮な鯖に特製ソースがあう。
2014年に昭和ショッピングロードに開店したサラダ専門店「amaサラダ」が今年ついに移転するという。野菜や果物に熱を加えず絞ったコールドプレスジューズや、トッピングやドレッシングを選べるカスタムサラダが好評で、百貨店やネット通販でも売れている人気店。「ついに杭瀬を巣立ってしまうのか」と思いきや、移転先はわずか50メートル先の元お弁当屋さんで安心した。
amaサラダオーナーの石黒裕介さん(42)は尼崎塚口出身。20年以上飲食業界で腕を磨き、「最初は北浜で鉄板焼きをするつもりでしたが、はじめて訪れた杭瀬の商店街を見てピンと来たんです」との出店を決めた。
地元尼崎の縁も石黒さんを助けた。「イシグロが杭瀬に店を出したことを市報で知り、何か手伝えることはないかと電話をかけたんです」というのは小中学校の同級生・峯松宏輔さん。当時、百貨店勤務だった彼がバイヤーに紹介して、デパ地下での販売につながった。「彼の人柄の良さが惹き付けるんでしょうね」と、現在も営業担当として支える。
杭瀬でのオープンから5年、今回の移転も不思議なご縁から。大通りに面した空き店舗を見に行ったら、その奥になんと3倍以上の広さの古民家が隠れていた。取り壊すにも費用がかかると困っているというオーナーの話を聞き、藤井不動産のサポートもあり、思い切ってすべて買い取ることに。「最初はボロボロでどうなるかと心配でしたが、地域のみんなが助けてくれるんじゃないかと思って」と購入を決断。店舗奥と2階にはコミュニティ拠点も併設し、それでも余る住居部分には奈良から尼崎市職員が移住する計画が現在すすんでいる。
杭瀬移住を決めた 小濱さん
「奥に小濱さん住んでくれたらなあ」という石黒さんのつぶやきと、まちのリノベーションのために「自分も身銭を切ります」と動き始めた小濱賢二郎さん。