地元秘密結社KACに潜入 杭瀬の夢は夜ひらく

毎月1回、夜7時すぎから杭瀬の大人たちが集い、酒も飲まずに話し合う会議がある。場所は尼崎信用金庫杭瀬支店。「アクションクラブです」の合言葉とともに、毎回30人近いメンバーがシャッター脇の小さな扉から会議室へ向かう。商店街や市場の理事長、病院の院長、尼崎信用金庫の支店長、街を知り尽くす長老から市役所や商工会議所職員、さらに県庁職員まで、とお堅い顔ぶればかりかと思いきや、「最近店をはじめました」というニューカマーもふらりと遊びに来ている。

議題は「杭瀬の未来」。アツすぎるテーマ設定にもかかわらず、街の近況やこれからやってみたい企画など、立場を超えて楽しそうに語り合う秘密結社が「杭瀬アクションクラブ」だ。

「別に秘密の集まりとちゃうよ(笑)。杭瀬のことを思って行動(アクション)する人なら誰でもウェルカムです」と語るのは、このクラブのリーダー、礒田雅司さん(56)。杭瀬栄町EAST商店街で酒屋を営む彼が5年前に呼びかけた輪が広がっている。

会議は毎回90分。絶対に延長することはない。なぜなら信用金庫の強固なセキュリティ対策で、出られなくなってしまうからだ。これが功を奏して、あらゆることがスピーディーに決まる。「みんなの杭瀬食堂」もここから生まれたし、「amare」の二人の住まい探しからアルバイトの面接までここで決まったほど。

食べるものはもちろん、病院、介護施設、不動産まで、ここにくれば杭瀬のすべてがそろう。「ゆりかごから墓場まで、みたいやな」と誰かが言うと、「ほな次は葬儀屋呼ばなあかんな」と軽やかにつながり、また次のアクションを生み出そうとしている。

アクション!夜話し合われた「夢」を本当にアクションした企画がこちら。

その1 杭瀬のうまいもん食べて知ってほしい
杭瀬つまみぐいラリー
パスポート(700円)を購入し、21の参加店の中から、11店舗のつまみぐいメニューを味わうことができる新企画。今年3月の第1回にはおよそ800人が参加し、「もう食べられへん」という満腹の声や、ビール片手に楽しむ姿なども。次回は10月26日に開催決定!パスポートの購入はお早めに。
その2 杭瀬のお店の魅力を子どもたちに伝えたい
市場寺子屋
魚屋がイワシのさばき方を教えてフライを一緒に作ったり、和菓子屋さんといちご大福を作ったり、あましんは貯金の仕方を教えたり、杭瀬のまちにいるプロフェッショナルたちが企画した習い事イベント。今年も開催予定。