フード風土 24軒目 バイキングレストラン アルカイック

よそ行きの「グルメ」じゃない、生活密着の「食いもん」を探して、アマを歩く。
取材・文=松本創(本誌)

夢の饗宴 バイキング30種

テーブルに料理が満載。ただし、食べられるだけ盛るのがバイキングの鉄則である。

ワケあってしばし入院することになった。退院後も当分の間、食事は制限されそうだ。ならばその前に思う存分食ってやろう、胃袋が「もう堪忍して…」と涙声で訴えるまで詰め込んでやろう。にわかフードファイター気分で意気揚々と向かった先は、尼崎市総合文化センター。噂に聞こえた[バイキングレストランアルカイック]である。

もとは同センターの「会館食堂」的存在だったこの店が、バイキング専門に変わったのは3年ほど前。「月1回だけやっていたバイキングが好評だったので」と小畠行男支配人。いわば「毎日が夢の饗宴」状態である。

和洋中の料理が30種余り、スイーツにフルーツ、ドリンクも揃って、時間制限なしの880円一本勝負、というから、こりゃ体育会系貧乏学生諸君が泣いて喜ぶなあと思いきや、「学生さんより中高年女性やお年寄り夫婦が多いですね」。ホールで演歌コンサートがある日などは110席が常にぎっしり。「奥さん、これも食べ」「イヤッまた太るわー」てなアマダムの嬌声が飛び交うのだろうなあ。

午前11時過ぎ、参戦。まずは一番人気、不動の王者だという海老天を、船盛りからうやうやしく皿に取る。周囲にカボチャ、キス、チクワなどの天ぷら隊を配し、さらにアジ、トンカツ、コロッケのフライ系。隣では、ジャージ姿の屈強な男たちが大盛り飯にドカンドカンとフライを盛り、豪快にカレーをぶっかけている。非番のお巡りさんらしい。

白飯食いの筆者にとっては、きんぴらごぼうに出し巻き、サンマ煮、小芋煮といった和の惣菜は外せない。中華だとシュウマイ、エビ餃子の点心系に肉団子、中華スープ。食い進むうち、次々と新たな料理も登場する。あ、ハンバーグが出た、ロールキャベツだ、春雨サラダも忘れるな、ええっチラシ寿司もあるの!?…てな具合で2時間弱。締めのコーヒーでやっと30種到達したものの、腹はキンキン、足取りフラフラ。

挑戦する前に「食べられる分だけを、できるだけバランスよく」と小畠さんにアドバイスされたことを遠い目で思い出す入院5日目、おかゆ漬けの日々である。■松本創

※土日祝は980円


24軒目 バイキングレストラン アルカイック

昭和通2-7-16尼崎市
総合文化センター2階
11:00~14:00(L.O.)
火曜定休
TEL:06-6483-4535