ご近所のオキナワ
一見普通の食堂に沖縄そばがあったり、肉屋の奥にサーターアンダギーやウコンを取り揃えた物産コーナーが隠れていたり。尼崎にはすぐご近所のオキナワがある。
「島人ぬ宝」の沖縄そば(七松町)
沖縄そばならココさ~と、県人会の方々が真っ先に挙げる「さっちゃん」は今年20周年を迎えた。やんばる(本島北部)の東村出身の佐久川幸子さんが50代で開いたお店は当初、尼崎の土地柄を意識してか、お好み焼き屋だった。ところが、続々と集まる尼ウチナーンチュたちのリクエストに応えていくうち、沖縄そばにチャンプルー、豚のモツ料理…と、完全に島仕様の食堂に。週末はカラオケ、三線、指笛が飛び交う。
「お金もうけは下手やけど、お友達作るのは上手なの、私」と、人懐こく笑うさっちゃん。20周年祝いには常連さん140人が集まり、店では毎月、県人の互助組織「模合(モアイ)」の集まりがある。ウチナーンチュが心おきなく故郷に浸れるこんなお店は、まさに“島人ぬ宝”なのである。

あの宮里藍と同郷で、小学校の大先輩。ツーショット写真がひそかな宝物だ。

七松町2-2-20 06-6416-8005 18:00~24:30 水曜休
尼に根付いた沖縄の味(潮江)
JR尼崎駅の北、ホルモン焼の匂いが漂う一角がある。久米島出身の山里智功(ちこう)さんが40年前に開いた「山里食肉店」。店先の鉄板ではいつも看板メニューのホルモン焼が熱々だ。沖縄食材の代表、テビチ(豚足)のほか、ミノ、モツなど内臓系の豚肉も加工業者から直接買い付けるから安い。店の一角の沖縄物産コーナーには、こだわりセレクトのスパムやウコンなど缶詰・乾物類が常時100種類以上。週2回空輸で取り寄せる島どうふ、長丸(かまぼこ)なども。店長の浩さんによると休日には篠山や東大阪から来る人も。
「昔、尼崎で働いていた人が懐かしがって買いにくるんです」という。沖縄の味がいまや尼崎の味になったのだ。

潮江の町で育った店長。ダウンタウンの松ちゃん、浜ちゃんとは潮小、大成中の同級生だった。

潮江1-28-12 06-6499-3391 10:00~20:00 月曜休
ほどよい「温度」の泡盛バー(昭和南通)
国道2号線からすぐ南、出屋敷線沿いでは、招き猫ならぬ“招きシーサー”が笑顔でお出迎え。登川流琉球民謡の大家・伊禮正哲氏がプロデュースする泡盛バーだ。
店を一人で切り盛りするのは伊是名島出身の千葉さん。鼻歌を唄いながら、軽やかに。自然と肩の力が抜けていくムードに、遅がけには若者が集う。「ウチナーよりも、沖縄好きの若い人の方が多いわね。でもそれもいいんじゃない」。塩加減がたまらんポーク玉子や沖縄焼きそば、ショットで気軽に飲める泡盛は確かに、ちょうどいい「入口」なのかもしれない。それでもBGMのビギンは浮ついたようには聞こえない。ブームだから、だけではない、ほどよい温度がアマらしい。

東京在住歴が長いが、アマの沖縄ぶりに即アジャスト。「性に合ってたのかもね」。

昭和南通7-195 06-6419-8890 19:00~翌朝5:00 月曜休