論:尼崎JC 50年の鎖の輪 (社)尼崎青年会議所 第50代理事長 森上 恒

社団法人尼崎青年会議所(尼崎JC)は昭和34年に生まれ、本年創立50周年を迎えさせていただきます。高度成長期の真っ只中に、「尼崎のよりよき発展に情熱をかたむけ、併せて各国青年との交流を図り、正しき世界観を養い、全世界の平和の促進、経済の発展に貢献せんこと」を期して、35名のメンバーがこの地に青年会議所運動を起しました。

「青年会議所」とはアメリカを発祥の地として、現在では世界107カ国、20万名を超えるメンバーが、全世界でその国や、地域に根ざした活動をしています。日本国内では地域単位で個別の独立法人として、709の青年会議所があります。全ての青年会議所は活動の基本をJC三信条「修練」「奉仕」「友情」におき、「明るい豊かな社会を築く」ことを共通の理想として活動しています。

尼崎ならでは環境活動

尼崎JCは創立以来、この尼崎のまちづくりに対し様々な事に取り組んで参りましたが、創立間もない頃の印象深い取り組みは公害問題への取り組みではないでしょうか。当時はまだ公害問題が社会問題化する前の時代で、「尼崎市の公害問題に取り組んでいる」…と言うと、政財界の方々から「企業人が何を考えているんだ!」とお叱りを受ける時代だったそうです。経済活動と環境保全活動は相反する、と誰もが当たり前のように思っていた時代であり、先輩方はそういった批判を浴びながらも尼崎の大気汚染調査等に積極的に取り組み「尼崎に青空を取り戻そう」と叫び続けたそうで、時代に即した勇気ある活動を行ってきたのだと思います。結果、この尼崎市は毎月8日を「青空の日」と制定し、北雁替公園には「青空を願う像」が建立されたそうです。

様々なコラボレーション

50年間の活動の軌跡を限られた紙面で記すのは無理がありますが、尼崎シティ国際ハーフマラソンの立ち上げや、「船だんじり」を50年振りに復活させた事、「あまがさき中学生連絡会議」を立ち上げた事、環境キャラクター「エコあま君」の誕生…等は印象深い活動であったかと思われ、時勢や時代の要求に応じて様々な取り組みをこの50年間行ってきていることがうかがえます。ここ近年は、震災10周年事業として開催させていただいた「あまテラス」というイベントを皮切りに、様々な団体とコラボレーションして活動して行く事が増えてきました。

理想と信条は連続する

青年会議所が他の団体と異なる特色の一つが「単年度制」であると考えています。毎年人事が一新され、組織そのものが毎年生まれ変わっていきます。その事により組織が停滞することなく常に循環し、時代に即した活動を行って行く事が出来るのです。逆に、その単年度制が運動の連続性を無くしている、という見方もありますが、私たちは自分達の活動を「不連続の連続」と捉えています。一年一年に関連性は無いように見えるかも知れませんが、その根底には常にJC三信条があり、共通の理想をもって活動しています。これまで49個の鎖の輪が繋がって来て、そして今年は50年目を迎えさせていただきました。

この地に恩返しがしたい

創立50周年に当たる本年は、この地で50年間活動させていただいた事を恩返し出来る一年にしたいと考えています。半世紀という大きな節目の年だからこそ、改めてこの地で活動させていただいている事に感謝し、この尼崎の未来を共に夢見る、そんな運動を展開出来る一年にしたいと考えています。

この尼崎JCが次の50年も必要とされる団体である為に、私たちもがんばって参ります。是非、入会対象年齢(20歳~40歳)の方が周りにおられたら、尼崎JCの門戸を叩いてみるようにお薦めしてください。


もりかみ・ひさし

1970年、神奈川県川崎市生まれ。慶応義塾大学法学部並びに体育会ボクシング部卒業。93年4月大日本印刷(株)入社、製薬メーカー等の商業広告を主に扱う。現職場である(株)日本セメント防水剤製造所の先代が急逝した為、99年夏に転職して尼崎に移住。周囲に知人がいない為、01年友達作りに尼崎JCに入会。関東弁が災いし、未だなかなか友達が出来ないが09年理事長就任。