潜入取材 町内会におジャマしました

「ご近所づきあいがわずらわしい」と各地の町内会で加入率が低下している。そんななか、「加入率9割以上を誇るスゴい町内会がある」と聞き、イベントに潜入した。

町内会の集会所は何と電車の車両。かつて阪神国道を走った路面電車である。

お邪魔したのは、センタープール近くの大庄東第三町会。この日は毎年恒例の餅つきイベントで、集会所(写真右)がある水明公園では威勢よく杵をふるう男性陣と、手際よく餅を丸める女性陣が何とも楽しそうだ。

きっかけは今から6年前。「最近、うちの町会でもご近所づきあいが減ってきたなあ」と感じた会長の岡田昭年さん(71)が近所の仲間に声をかけ、餅つき大会をはじめた。参加者は年々増え今年は150人を超えるビッグイベントへと成長した。

「最初は『何か寄ってはるわ』って見てるだけやってんけど」という60代の女性も、いつのまにか輪の中へ溶け込んだ。

「ここに集まる女性たちの世間話はすごいですよ。独居老人の情報なんかも自然と集まるしね」と岡田さんは、地域に目を配る。

新しく移り住んできた人にも一軒一軒丁寧に訪ねて加入を呼びかける。会費が月50円という気軽さもこの町会の魅力だ。「煙たがられても、街に住むルールは誰かが伝えないかんしね」と住民の苦情にも対応する岡田さんには頭が下がる。

イベントをみんなで盛り上げ、ゆるやかなご近所のつながりを作っていく。「懐かしいもの」だけにしたくない町会の姿があった。