神主のぶらり街歩き
連載第10回 えべっさんは大忙し
年末年始、神社は大忙し。正直、“ぶらり”している場合ではない。でも頑張って歩いた。
高さ17メートルを誇る朱の大鳥居。そう、ここは尼崎えびす神社だ。昭和34年に建立された大鳥居は、昨年10月に塗り替えが行われ、見事な輝きを取り戻した。昨年発行された『るるぶ尼崎市』や『尼崎ウォーカー』にも取り上げられるほど、尼崎のランドマークとしてその存在感を醸し出す。
「そういえば、ここって正月が終われば続けてえべっさんやなぁ。盆と正月、ウチで言えば夏祭りと正月が一緒にくるみたいなもんや」って理由で社務所を訪ねてみた。
「正月分と十日戎分が1度で準備できるので、すごく忙しいという感覚はないですよ。でもね、本番は大変です。お正月が終わって休む間もなく十日戎なので、かなりテンパっている自分を見せないように平静を装うのに必死です。だいぶ慣れましたけどね」と太田垣亘世禰宜。社頭で授与される縁起物は景気をもろに反映するそうで、「不況の時ほど、大きな熊手や福笹などの縁起物を受けて帰られますよ。ご祈祷の件数も増えますしね。お参りされる方の危機感を感じ取れるほどです」とのこと。
ところで、お話しをしてくださった太田垣さんは、昨年11月まで2年間、「インターナショナル シントウ ファンデーション」のオフィサーとしてアメリカ・ニューヨークを中心に神道教化に努めて来られた。アメリカ人に神道、ってピンと来ないが、結構ブームのようだ。特に縁起物は「意識がそこに向かう」と評判。あらゆる物に神が宿るという考え方も、アメリカ人に新たな宗教観を芽生えさせているようだ。
アメリカで貴重な経験をされた太田垣さんの今後のご活躍を祈りつつ、貴布禰神社の商売繁盛を尼崎えびす大神に願ったが、これって効くのかな? 結果は次号にて!!
江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンな南部のお社きふねさん(貴布禰神社)第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。