フード風土 27軒目 SOUL CURRY CAFE

よそ行きの「グルメ」じゃない、生活密着の「食いもん」を探して、アマを歩く。
取材・文=松本創(本誌)

尼のソウルカレーは母の味

チーズカレー(レギュラー)830円、おかんカレー(レギュラー)680円。サラダとフライドポテトが付くプレートも。

カレーライスほど老若男女に愛され、また熱烈なマニアを持つ食べ物があろうか。百人いれば百通りの「俺カレー」がある。外来食ながら、いまやまさに国民食、ニッポン人のソウルフードである。

JR尼崎駅の北、アミング潮江の一角にある[SOUL CURRY CAFE]は、尼崎のソウルフードを目指して、昨年夏に開店した。そもそもソウルフードとは米国南部の黒人の日常食のことだが、その点もきっちり押さえてある。BGMはスライ&ザ・ファミリーストーン、壁面では『ワッツタックス』を上映、店のロゴは名レーベル「スタックス」のマークのアレンジ。つまり筆者のようなソウルミュージック好きにはたまらん空間なのだ!…と、個人的趣味で少々アツくなったが、こんなユニークな新店ができるのも、再開発が進むJR尼崎周辺の磁場であろうか。

こちらの店主、仲田英史さんの「俺カレー」は、おかんが数カ月に一度、腕まくりして作る手づくりカレーだった。その美味さときたらとびきりで、家族全員がカレーの日を待ち望んでいたのはもちろん、近所のカレーマニアが「店やってくれ」というほどだったとか。で、仲田さんはおかんの助けを借り、まずは大阪・南船場にカレー屋台を出した。これが評判になり、次は北新地のバーで昼だけのカレー屋を営業。そこでも人気を呼び、いよいよ満を持して尼崎に自分の店を構えた、というわけだ。

「タマネギなど7種の野菜とスパイス、小麦粉を炒めて水分を飛ばした固形のルウを作り、鶏肉をじっくり煮込んだスープで戻して…計100時間はかかります」というおかん直伝のカレーが、すべての基本。ここにチーズをまぶしてバーナーでトロトロに溶かしたり、茄子の一本揚げを載せたり、冬なら冬瓜を加えたりして、多彩なメニューが揃う。ターメリックライスに絡むカレーは、野菜がたっぷり溶けているから、口当たりはほどよくマイルドだ。

「ほら、子供って野菜嫌いでしょ。おかんは、どうにか僕に食べさせようとしてたんでしょうね」

そんな想い出を聞きながら、手元のメニューを眺めていたら、おととし亡くなったというおかんの似顔絵が笑っていた。


27軒目 SOUL CURRY CAFE

潮江1-20-1
アミング潮江イーストA-2棟1F
11:00~24:00(L.O.23:00)
日曜休
TEL:06-6624-9567