オオサコ、町内会はいるってよ

町内会へ入ることにした。

特に何を期待しているわけでもない。街を変えたいと熱くなっているわけでもない。これまで誘われたこともなかったし、ちょうど良い機会というくらいの理由だ。

まあ、近所にどんな人たちが住んでいるのか、知らないよりは知っている方がいい。そう言えば田舎の生まれの妻は、「盆踊りの案内が来なかった…」とショックを受けていた。今どきそんなに面倒なこともないだろうし、あったらあったで面白いではないか(派閥争いとか)。


そんな次第だったが、いざとなると誰に何をすれば良いのかわからない(当然だ)。とりあえずインターネットで「尼崎市 ○×町 町内会」と検索してみる。案の定、ダイレクトな問い合わせ先など出てこないが、トップヒットの尼崎市の「町内会・自治会とは」というページに、「市民協働局 市民活動推進担当」の電話番号が載っていた。

かけてみると、住所を尋ねられ、すぐに該当する社会福祉協議会の支部から連絡をくれるという。程なく支部の担当者から電話があり、町内会長さんに取り次いでもらうことになった。

しばらくして、町内会長の奥さんのSさんから電話をいただく。町内の地図を届けたいのだが、うちが見つからないのだという。その日は仕事に出ていたので、とりあえずポストに入れてもらったが、まずは訪問という話の早さが町内会的だ、と思うことにする。


2日後、仕事帰りにSさんのお宅を訪ね、会費(+町内会で取り組んでいる募金)2000円を渡す。うちは4組の2班。1~10組まであり、各組6班ずつあるそうだ。「何かメリットを期待してたらすみません」と恐縮しておられたが、自分から申し出る人など滅多にいないだろうから、気を遣わせてしまったに違いない。

1週間ほどして、帰宅すると回覧板が届いていた。おお、これこれ。町内会に入った実感が湧いてくる。張り切って初サイン。「よく見て早く回しましょう」の注意書きの通り、早速回そうとしたのだが、次に誰に回せばいいのか書いてない。夜も遅く、仕方がないので一晩預かることにする。

翌朝、回覧板を持って訪ねる。「あ、気がつかなくてごめんなさい」と笑うSさん。こういう人当たりの良さが、町内会を支えているのだと思う。話の流れで町内の「生き字引」だという方を紹介してもらうことになった。その方は女性で、ご主人が長年にわたって町内会をリードしてきたのだという。


うかがったところによると、現在の加入世帯数は約250。10年前に比べて50世帯ほど減ったそうだ。戸建て住宅がワンルームマンションに変わり、単身者が増え長く住む人が減った…といった事情は、他の町内会とそれほど代わらないだろう。以前は町内会の中に青年会があり、子ども会の活動にもたくさんの親子が集まって、という昔話もまた。

そうやってマダム生き字引やSさんのお話を聞いているうちに、ここに住む人たちがとても愛着を持っていることに気がつく。「このあたりは高級住宅街でね」と話す様子は誇らしげで、夏の盆踊り大会の屋台を自分たちで仕切っていることは何よりの自慢のようだった。テキ屋に来てもらうのではなく自分たちで、というところに、町内会という今や微妙な組織の目指すものや、価値の置き方が表れている気がする。

「盆踊りの実行委員会に入ってもらったら」と言われ、焼きそばでも焼いてみるかと想像してみる。悪くない、と思ったあたりまでが、今のところの町内会員としての活動である。打ち上げのカラオケまでは、ちょっと御免蒙りたいけれど。

町内会入会レポート/大迫力

ヒロシです。消防団に入るとです。
新人消防団員レポート 村田弘志(尼崎在住12年)

名古屋生まれきしめん育ち、味噌がつくもの大体友達だが、尼崎市内に所帯もかまえて、ひょんなことから地元の消防団に入団することになった。4月27日、平成26年度新任消防団員辞令交付式なるものに参加した。場所は尼崎市防災センター。尼崎中から集まった20代~50代の男女とともに朝9時に集合する。

まずは辞令をいただき、訓辞、座学研修と続き、その後、礼式とホース収納訓練に挑む。最後には手帳と辞令書を受け取り解散した。

この日学んだのは、消防団員が非常勤の特別公務員であること、58分団全922名(ちなみにヒロシは上ノ島分団)という全国屈指の団員数を誇ること、礼式のピシッとした動作、カッコいい制服、敬礼、ホースという無機質な物質の重さの向こう側にある人命という最も尊いもの…かっこいい。そして極めつけは「消防団は地域防災の要」という消防局長の言葉。地域防災を担う責任の重さに、やりがいとともに何とも身の引き締まる思いであった。出動はまだだが、ハートは熱く燃えたぎっている。あ、燃やしたらあかんか。