3時の働くあなた

尼崎クリーンセンター

尼崎の臨海部にある第2工場。燃えさかる炉の映像と温度計をにらみながら、6人の男たちが今宵も静かにゴミを焼きつくす。

毎日の生活で大量に生み出されるゴミはどこに行くのか?「あー、ゴミ処理場やろ? なんか小学生の頃行ったわ」。そんな声が聞こえてきそうだ。じゃあその後は? そして、その焼却施設が24時間稼働していることを知っている人はいったいどれ程いるのだろうか。

今回お邪魔したクリーンセンター第2工場では、1班6人構成で4交代の勤務体制がとられている。その理由は極めてシンプルで、365日24時間体制でないと処理が追いつかないのだ。年に2回ある機械のオーバーホール(全般検査)以外は、無休でゴミを燃やし続けている。第2工場の1日の最大焼却量が480トンなのに対して、平日に運び込まれるゴミの量は1日平均500トン。土日や深夜も働かないと間に合わないわけだ。オーバーホール明けのゴミの量は13000トンを軽く上回るそうで、天井までそびえ立つゴミの山は壮観である。休み明けに仕事が山積みなのはどこも同じだ。もちろんこれが崩れると一大事なので、巨大クレーン(一掴み3トン)を使って上手く積み上げなくてはならない。

ピットから焼却室へ投入されたゴミは、そこで灰になるまで燃やされる。平成17年に導入された最新式の焼却炉は、900~950度の高温で金属以外ほとんど何でも燃やしつくす。効率よく燃やすために空気を調節したり、ストーカというゴミを動かす装置を調節する。この時に出る蒸気を利用して発電(昨年度は売電額5億円を達成)しているので、蒸気の安定が不可欠。中央制御室でコンピュータ管理しているが、目視による手動操作が必要なことも多い。ゴミ焼却場はゴミを燃やすだけでなく、発生した熱で電気を生み出すまさに「リサイクル工場」なのだ。

巨大な機械と最新式の設備が整った施設は清潔感があり、SF映画のワンシーンのようで正直なところ「かっこいいな」と思ったし、冗談を言い合える人間関係もいいなと思った。しかし、ガラスの向こう側はマスクがないと入れない過酷な世界だという。

お話をうかがった米倉英文作業長は「ゴミをうまく積み上げた時には達成感がある」と他の班員の方々と笑いあっていたが、点検のために制御室を離れ現場に出向くことも少なくない。「今はそんなことないけど、昔は不法に捨てられた車のパーツや自転車が引っかかってね、その度に取りにいきましたよ」とやはり笑いながら話す姿にアマの懐の深さをみた気がした。

この日のお夜食
「バラ寿司といかのフライ」

夜食ではなく19時の晩ごはん。「若い頃は食べたけど最近は夜食は食べへんね。ちょこちょこ班員が持ってきたおやつをつまんだりはするかな」という米倉さん。若手はカップラーメンなどを食べるのだとか。


取材・文/ながいじゅんいち
神戸山手大学講師。専攻は社会学、文化社会学、メディア論など。あとロックフェス!