Hey! 森ボーイ
尼崎21世紀の森を愛し100年後の未来を夢みる少年少女の心を持った人々。尼崎版「モボ」「モガ」の活動をご紹介しよう。
運河に浮かぶ遊びの達人
サーフボードに立ってパドルを漕ぐスポーツ「パドルボード」の集団が尼崎運河に出没するようになって約2年。仕掛け人は岸本幸三さん(48)。塚口で木材を使った梱包業を営むかたわら、本業の「木」と関わりの深い森づくり活動にかかわるようになった。NPO尼崎21世紀の森のメンバーとして、森づくりにまつわるイベントやフリーマガジンの編集を手がけてきた。「臨海部は普段人が来ない場所。どうせならインパクトのあることを」と大阪中之島で偶然出会ったパドルボードを尼崎ではじめることに。
現在は北堀キャナルベースを拠点にツアーを企画、同時に運河の清掃にも汗を流す。「最初は遊びから森や水辺に興味を持ってもらえれば」という岸本さん。遊び上手な“森ボーイ”は「次はお年寄りも参加しやすいスポーツを」とノルディックウォークのイベントを企画中だとか。
尼崎で木を植えるひと
尼崎中央緑地の苗木づくりや植樹を中心とした活動をしている「アマフォレストの会」。登録メンバーは50人ほどで、月2回の活動日には毎回10~20名くらいが参加する。「ウチの会のいいところは、お互いプライベートには干渉せず、行ける時に来てもいい雰囲気があるとこかな」と、設立以来のメンバーの新籾喜久さん(71)。植物に詳しい人もいれば、ただ体を動かしたくて、と動機もさまざまだという。7年前に植樹したエリアは、すでに樹高が6~7mにまで成長し、野鳥の巣作りも見られるまでに。尼崎市内の小学生の体験学習も受け入れ、そのときにはガイド役で森を案内する。「この森に虫や鳥など生き物が共生していることを伝えるんです」と顔をほころばせる。いずれは間伐した幹でシイタケ栽培をしたり、子どもたちに木の実を食べさせてあげることが夢だという。
背中でひっぱる元事業所長
職場が尼崎の臨海部だった。コークス製造で鉄の街を支えた関西熱化学で尼崎事業所長まで務めた阿部利雄さん(70)は、企業委員として会議に呼ばれたのをきっかけに“森ボーイ”への道を歩むことになった。「40年間働かせてもらった街に恩返しがしたい」と定年退職後、さらに本格的に森づくりにかかわるように。入った部会のテーマは「まちづくり」。最初は何をしていいのか分からなかったが、臨海地域のまち歩きや企業とのネットワークを活かして、尼崎の技術を子どもたちに伝えるイベント「エコキッズメッセ」を企画してきた。
2004年にはNPO法人尼崎21世紀の森が設立し、阿部さんは事務局長として、イベントテントの積み込みから会議資料の作成にと奔走してきた。年に1度のビッグイベント「うんぱく(尼崎運河博覧会)」の事務局を一手に引き受け、愚痴一つ言わない彼の背中に多くの仲間が共感するのは、さすが元所長。「森づくりはまちづくり。企業も住民も一緒にできることを考えたい」と次の構想を練る。