フード風土 33軒目 茶カフェ桜里

よそ行きの「グルメ」じゃない、生活密着の「食いもん」を探して、アマを歩く。
取材・文=松本創(本誌)

しみじみと滋味 お茶の楽しみ

お茶をゆっくり味わいたい、と思った。朝晩ずいぶん涼しくなったし、人生のシーズンにおいても、四十ともなれば、そろそろそういう年齢だ。で、前から気になっていた尼セン内の日本茶カフェ[桜里]を訪ねてみた。メイドイン尼崎認証企業の[甘露園]が2年半前に開いた店である。

日本茶の美味しい淹れ方セミナーも随時開催。お茶の葉や茶道具も販売する。無農薬緑茶と出雲の温泉水を使ったオリジナルの「すっぴんお茶小町石鹸」がホットな新商品。

「お茶を基本から教えてほしいんですけど」と店主の田村千夏さんにお願いすると、「じゃあとりあえずいくつか飲んでみます?」と、試飲会兼レクチャーが始まった。甘露園のお嬢である田村さん、「茶鑑定士」「日本茶インストラクター」「茶審査技術六段」「裏千家茶道講師」と、あらゆる資格を持つ日本茶のエキスパートなのである。

まずは煎茶。お勧めの「知覧茶」(500円)をアイスでいただく。「煎茶は60~70度が適温と言われますが、うちでは一煎目は50度で淹れます。2分ぐらいかけてじっくり抽出すれば、香りも旨味成分のアミノ酸もよく出るんですよ」。なるほど、爽やかな中にほんのりと自然な甘み。急須を振って最後の一滴(ゴールデンドロップという)まで絞り出すのが二煎目も美味しく淹れるコツらしい。

続いて抹茶。「抹茶は限りなく100度に近いお湯で、茶せんはかき回さず、一気にお湯を切るように…」。さらに玉露。「40度で5分以上かけて。テアニンというアミノ酸が濃厚で深みのある味わいを…」。せ、先生、もう覚えられません、頭の方が湧いてきて…。

オフにはチョッパーハンドルのハーレーで駆け回るという田村さん、お茶の話になると、好きすぎて猛スピード&ノンストップになるらしい。

先生、お腹が空きました。お茶にはやっぱり和菓子ですか? 「もちろん和菓子もよく合いますけど、食事と一緒でも大丈夫。脂っこい物にはほうじ茶ですが、この静岡煎茶(500円)も相性いいですよ」というわけで、それをアイスで、「豚焼肉サンド」(780円)と一緒にいただく。

むう、これは旨い。濃厚な甘辛味の豚肉に負けない、深いお茶の風味。それでいて、脂っこさをさっぱり洗い流してもくれる。この組み合わせはアリですね。「でしょ?」という表情の田村さん。お茶でだれかを喜ばせるのがうれしくて仕方ない人なのである。


33軒目 茶カフェ桜里

神田中通1-2-1 尼センデパート内
10:00~20:00 定休日は尼センに合わせて月1、2回
TEL:06-4869-4108