フロラボ 第1回 蓬莱湯(蓬川町)

銭湯調査員が尼のフロ場をかんがえる。

殿方目線 もし番台でドラッカーを読んだら

漆喰の壁である。床や調度には天然無垢材を惜しみなく用い、程良い間接照明の天井も漆喰風に塗られている。広くはないが気持ちよくシンプルな和モダンで統一された館内。カフェや旅館ではなく、銭湯の話である。去年の秋に改装したばかりの蓬莱湯は、高度成長期の面影を残す静かな住宅街の奥にある。

「新しい銭湯のカタチを提案していきたい」と稲さん(左)。

浴場には銭湯の定番とも言える電気風呂はなく、中央の浴槽に天然かけ流しのお湯がこんこんと湧き出ている。自慢のお湯の良さを存分に楽しんで欲しい、という趣向である。

改装の際、有名建築家を口説き落とした奥さんは「雰囲気が変わり遠ざかるお客さんもいたけど、やりたいことをせんと」と笑う。その分、若い人や遠方からの客が増えたという。湯を楽しむことと内装にこだわって、新しい銭湯像を提案した。「次は何を仕掛けよか、と戦略をあれこれ妄想するのが楽しい」と語る奥さんの愛読書はドラッカーとか。この居心地の良さこそ、イノベーション。エッジの効いたこだわりの銭湯は進化し続ける。

男湯担当:伊元俊幸
立花在住。尼崎をこっそり愛する公務員。最近自宅のシャワーヘッドを交換しました。

婦人目線 人もお風呂も、あったかい

女湯の暖簾をくぐる前からおばちゃんたちのはつらつとした笑い声。入った途端「まあ、かわいいね」と会話が始まる。その日、3歳の娘の銭湯デビュー。娘はびっくりして泣いちゃうんだけど「あらら、お風呂こわいのかな」「銭湯、はじめてなの!」「大丈夫よー。恐くないよ」。あまりに泣くものだから「おかあさん、私が見とくから入ってくる?」と。そう、銭湯全体に漂う雰囲気はまさにコレ!

浴場へ入れば、どまんなかに、大きなお風呂がど~~~ん。まるで家族だんらんの象徴であるちゃぶ台のような存在感。「今日は冷えましたねー」「そうですね」と知らない誰かと誰かでも会話が始まりそう。ひとりでのんびりもよし。橙色のあったかい灯りのもと、お湯につかれば癒しのひととき。すべりにくい素材の床に、軽く背もたれ付のいす、持ちやすいデザインの風呂桶…その心遣いも、なんともニクイ。気づけば、娘もルンルン♪ お風呂上がりは、コーヒー牛乳を飲みながらテレビ…あぁ~家に帰るのを忘れそう。

女湯担当:小森利絵
尼崎在住歴21年。出産を機に、懐かしいアマの風景を思い出し、ウロウロ散策中。


温泉自動販売機やペットシャワーなど斬新なアイデアを繰り出す天然温泉が、有名建築家に依頼し大リニューアル。注目の新世代銭湯。

道意町2-21-2 15:00~23:30(日曜は12:00~) 金休 TEL:06-6411-0567