サイハッケン ジャマイカが認めたレゲエが尼崎にあった。

長く住んでいても意外と知らないまちの愉しみ。「へえ~」と目からウロコの再発見!
ディープサウスの魅力をご堪能ください。

EMPEROR
TAKU(MC)【写真左】JACKEY(SEL)【右】YO-CHANG(MC・SEL)YAMATO(MG)の4人からなるサウンドクルー

尼崎に、日本国内だけでなく、海外からも注目されるレゲエ・サウンドクルー、「EMPEROR(エンペラー)」がいることをご存知だろうか。

2009年の結成以降、地道な活動を続け、16年にはTAKUとJACKEYが本場ジャマイカの有名なサウンド・クラッシュ(レコードをかけて、どちらが観客を盛り上げたかを競うショー)に出場し、見事に勝利をおさめた。そのことがイギリスの国営放送BBCで紹介され、翌週には彼らのミックステープが放送されたのである。

彼らは自分たちの活動を「尼崎のレゲエ」だと言い続けてきた。「とにかく人前でやりたかったので、自分たちでイベントを立ち上げた」と、どこかのシーンに入り込むのではなく、尼崎市内のライブハウスや野外でゼロからイベントを作ってきた。レギュラーイベントは神戸に拠点が移ったが、「尼崎爆音化計画」というイベント名を使い続けていることからも、地元へのこだわりが感じられる。

マネージャーのYAMATOは「ゼロから始めたことをまちに根付かせ、それが尼崎をプッシュするコンテンツになればいい」と語る。昨年は市内にスタジオを構え、ハワイアンカフェ・パイナワーフとコラボレーションしたミックスCDをリリース。尼崎にレゲエを定着させていきたいという。

一般にはあまりなじみのないレゲエは、とっつきにくい印象があるのも事実だが、伸び代も大きい。「今は底を打っているかもしれないが、苦しいところをやっているのであとは上がっていくだけ。自分たちの信じるレゲエをやっていく」とTAKUは語った。3月からの全国13カ所を巡るツアーでは、「尼爆」の名をよりいっそう轟かせることになるだろう。秋には野外イベントが企画されている。

「レゲエの種を植える」という表現を彼らは用いる。近い将来、どんな花が咲くのか、今から楽しみだ。

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emperoryamato@yahoo.co.jp


取材と文/永井純一
神戸山手大学現代社会学部准教授。主な著書『ロックフェスの社会学』(ミネルヴァ書房)など