神主のぶらり街歩き

連載第24回 だんじりへぶらり

前号の特集「だんじり男子」はお楽しみいただけただろうか? 巻頭から「南部百景」まで、あの『南部再生』を貴布禰神社がほぼ独占。そこで感謝の気持ちを込めて、これからも喜んで“ぶらり”することを決意した。

さて、今回は9月15・16日に行われた初嶋大神宮の秋祭りをぶらり。15日はあの台風18号の影響による暴風雨にも関わらず、だんじりが阪神尼崎周辺を賑々しく曳行。1年に1度の晴れ舞台となるだんじり男子も皆精悍な顔つきだ。商店街でご祝儀集めをするだんじり男子の中には「ここは貴布禰の所やから厳しいわ!」なんて声も。貴布禰の所でなくても、今の時代、ご祝儀集めは厳しいのになぁ、なんて思いながら翌日を迎えた。

16日は当社と同じく、だんじりの山合わせが最大の見どころとなる。私も当社から南東へ約15分歩いて、まずは初嶋大神宮さんへお賽銭を入れてお参り。拝殿では当社でもご奉仕下さっているお神楽の方々が座っておられたので軽くご挨拶した後、神社東側の山合わせ会場へ進むも、貴布禰太鼓地車保存会の面々に会うわ会うわ。みんなだんじりが心の底から好きなんやなぁ、と感じながら会場に到着した。

ここの山合わせも当社のやり方と同じだが、何かが違う。全くハラハラドキドキしないのだ。会場の雰囲気が違うのか、指揮台で指示する世話人さんの声が優しい(当社はかなりの荒々しさ)のか、それとも時間が短いのか、いや、激しさが違うのか、その違いが何かわからない。でも何かが違うのだ。

分からないままの帰り道に、いつも当社のお祭りで露店のお世話をされている山本さんの奥さんと、露店の商品「ミルクせんべい」を頂戴しながら立ち話。「昨日は雨と風でお客さんさっぱりやった。今日はその分も来てくれてるかな?」って空を見上げながらポツリ。

きふねさんは雨の神さまってことは最後まで内緒にして帰路につき、神社に戻ったころに山合わせをしているときに感じた違いに気付いた。「主催者ではなく、参拝者やから違ったんや。立場が違うとこんなに違うんや! 違い過ぎる~」ってな“ぶらり”だった。


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンなお社きふねさんの第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。ラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」(FMあまがさき毎週水曜日夜8時~)も好評放送中。podcastも。