アマで暮らす「プロの尼さん」

尼崎で見つけた地元を愛するアイドルの卵たち。まだまだあまちゃんな期待の新人から、尼崎が誇るご当地アイドルまで、女子的魅力をたっぷりお伝えする特集企画。

出家の際にはじめての剃髪に訪れた思い出のお店。家の近所にある「理容タハラ」で。

落語家 天台宗僧侶 露の団姫さん
普段着の作務衣姿で。「めっちゃ楽ですよ。お坊さんのジャージみたいなもんですから」という彼女との会話には笑いが絶えない。

眩いばかりのヘアスタイルと満面の笑顔が、見る人の目を釘付けにする彼女の名前は、露の団姫(つゆのまるこ)。入門9年目、「まるちゃん」の愛称で親しまれる人気落語家だ。

「プロの噺家なんですが最近アマになったんです」。子どもの頃から「死んだらどこに行くのか」という答えを探して、聖書やコーラン、宗教本を読みまくり、高校時代に法華経の魅力にノックアウトされた彼女。「いつか尼さんになりたい」という長年の夢を実現し、2011年についに出家。晴れて「プロの尼さん」となった。 尼崎に暮らし始めたのは3年前。結婚を機にJR尼崎駅近くに新居を構えた。「出張が多いので、移動に便利な新大阪か尼崎で迷ったんですが、尼崎の尼さんって面白いでしょ」と言う彼女は正真正銘「尼崎のあまちゃん」なのだ。

落語家で尼さん、そんな彼女は「仏教落語」というお経の内容を落語で伝える活動にも取り組む。たまたま高座を見た天台座主(宗派のトップ)にも認められ「天台宗キャンペーンガール」に任命された。「恋愛やうつなど色んな悩み相談を受け、毎日が修行なんです」。悩みを抱えた人がふらりと来れる駆け込み寺のような場所を作るのが次の夢だとか。彼女のこれからに目が離せない。

大好評発売中

今年8月には『プロの尼さん: 落語家・まるこの仏道修行 』(新潮新書)を出版。日本初「尼な落語家」の汗と涙と笑いの半生記。

特集取材=若狭健作 綱本武雄 香山明子 小森利絵 森口耕次
写真撮影 森口耕次(p.02~03)