フード風土 30軒目 牛まるバーガー

よそ行きの「グルメ」じゃない、生活密着の「食いもん」を探して、アマを歩く。
取材・文=松本創(本誌)

ハンバーガーの尼崎ドリーム

「自分で食べたい味を追求したらこうなった」という牛まるバーガー(牛肉100%)。左は「焼肉のプロ」の目と舌を生かしたライスバーガー(ハラミ)。

佐世保バーガー以来、ご当地バーガーブームだ。淡路島だ神戸だ芦屋だと近隣の街にもそれぞれ話題の一品があるらしい。「人生の愉しみの一つはいかに旨い白飯を食うかだ」と考える筆者にはどうも馴染みがないのだが、尼崎の地バーガーとなれば話は違う。これは頬張らにゃなるまい…と勇んで訪ねたのは、ちょうど開店半年となる「牛まるバーガー」。

かつて焼き鳥やたこ焼きの店をやっていた髙下敬碁さん(57)が心機一転、地元で勝負をかけようと目を付けたのが、「店は小さくとも行列店に育つ可能性がある」というハンバーガー。10坪ほどの店に託した、これぞアマガサキドリームである。

後押しするのもアマの面々。牛肉の部位の選定や配合で髙下さんをサポートしたのが、同じ道沿いにある焼肉・韓国料理の有名店「高麗飯店」。パテの型抜きに使う道具は知り合いの鉄工所に頼んで何度も試作した。

まさにメイドインアマガサキなコラボを味わえるのが、この店のスタンダード「牛まるバーガー(牛肉100%)」500円。黒毛和牛のネックを中心に配合し、炭の直火であぶったパテ。デミグラをベースに牛脂などを煮込むオリジナルソース。歯ごたえはしっかり、味付けは濃厚。けれど、キャベツ・レタス・トマトなど多めに挟んだ野菜との調和で、ほどよい味わいに変わる。

「バランスが大事や思うんです。値段や大きさもそう。最近は○×産の和牛使用とか、どんどん高級志向になって、1000円を超すプレミアムバーガーなんかも出てるけど、本来はワンコインの食べ物。片手でかぶり付ける気軽さがないと」

昨今のグルメバーガーブームとは一線を画す髙下さんの“尼崎的思考”。それは、「清水の舞台から飛び降りる気分」で価格設定したという牛・豚・鶏合挽きの「牛まるバーガー(最不況100%)」380円、あるいは、タレも肉も高麗飯店プロデュースの「ライスバーガー(ハラミ)」680円にも表れている。

いっそ「尼崎バーガー」て名乗りはったら?と言うと、「いや、一瞬考えたんやけどゴロ悪いし…」との返事だった。


30軒目 牛まるバーガー

大庄北2-1-16
11:00~20:00
無休
TEL:0120-17-35-90
(イーナ・サイコー・ギューマル)