神主のぶらり街歩き

連載第13回 神社よりさらに南へぶらり

『南部再生』に寄稿していながら、これまで神社より南を“ぶらり”していなかった私。ひょっとしたら6車線もある国道43号線が南への足を遠のかせていたのかもしれません。そこで今回は、昔の街並みが少し残る中在家を通り、五合橋線を南下してみました。

かつて防潮堤代わりだった高いコンクリート塀がそびえ立ち、事業所内を伺い知ることができなかった住友金属工業の特殊管事業所。しかし、「県民まちなみ緑化事業」によって東側の塀が撤去され、コンクリートから”植栽とフェンス“に生まれ変わり、事業所内の様子がよく見えるようになりました。

興味津々で中を見ながら歩いていると、突然緑の芝のグランドが広がり、ホイッスルの音と、体育会系の掛け声が聞こえてきました。そう、ここは社会人アメリカンフットボール「Xリーグ」に所属するアサヒ飲料チャレンジャーズの練習場だったのです。このチーム、これまで日本一に1度、社会人王者に1度輝いており、常に上位に位置する強豪。2000年から事業所内のグランドを使用。4年前にはそのグランドが人工芝に張り替えられ、居心地のよさから選手達が長時間グランドで過ごすようになったそうです。

チーム事務局長・高橋正人さんは「国道43号線より南側にこんな環境があるなんて想像できないでしょ?でもね、体育館や大浴場、クラブハウスなど運営に必要なものが揃っていて抜群の環境ですよ。人工芝も最高のモノが使用されていて、試合会場より良いくらいです。春にはグランド横の桜並木の下で選手が花見を楽しんでいます」と、南部の工場の中とは思えない異空間を自慢されていました。

実は高橋さんとは数年前からの顔見知りでした。というのも、私、スポーツライターとしてアサヒ飲料の試合取材にお邪魔していたからです。またグランドが人工芝に張り替えられた際にお祓いに伺いましたが、当時、高橋さんはヘッドコーチをお務めでした。このように色々とご縁のあるチャレンジャーズに、貴布禰の大神さまのお力がありますように!


江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンな南部のお社きふねさん(貴布禰神社)第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。