尼的観光地図(マップ)第5回【西大物町界隈】
尼崎南部を旅人気分で歩いてみた。
路地裏アイテムが満喫できる 変わらない「ザ・下町空間」
西大物といえば、阪神尼崎をアーバンな雰囲気に変えた高層ビルの印象が強い。地名がいかついこともあって、田舎者で小心者の私は尻込みしていた。しかし「大物はオモロい」との噂を聞き、思い切って足を運ぶことに。
尼崎の空を突き刺すビルを見上げながらデッキ①を渡る。ビルの陰で薄暗くなった大物公園②を横目にさらに東へ進むと、徐々にスケールが小さくなる。昔ながらの商店、狭い路地、井戸端会議をする奥様方…いわゆる「下町」の出現である。
閉鎖的な空間に警戒しながら縦横に走る路地を通り抜ける。猫になった気分で散策していると、発見するのは年季の入った物ばかり。電球式街灯、巨大金魚が入った水槽、古びた縁台…昔から何も変わらない生活の香りで、いつの間にか安心感に包まれていた。
豆腐屋の大将の話では、このあたりも新しいマンションばかりが建設されるという。西大物に来れば変わらない風景がある、そんな心の故郷のような場所であり続けてほしいと願う。

薄暗い路地、細長く切り取られた青い空…絶妙な対比である。

置物の定番「信楽焼き」。間の抜けた顔だが格好はお医者さん。

玄関の軒下に物干し竿。訪問する際は洗濯物を汚さないように細心の注意を払うべし。

路地が自分の庭かのように置きまくっている。ジャイアン的ルールでも、見る人を楽しませるからアリ。


旅人が(独断で)つけた通信簿
西大物の路地は、一眼レフを首から下げて散策するのが趣味の人にぜひ撮影してほしい。食では、お店の数こそ少ないがダシの香りがたまらない「竹生」③や豆腐ドーナツが有名な「大物食品」④があり高いクオリティを誇る。
尼の旅人:出口寛子(でぐちひろこ)
地図を片手にカメラを構える怪しい人間がいても優しくしてください。